もめごとの予測 | Nothingness of Sealed Fibs

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見た映画、読んだ本、その他もろもろについて考えたことを書きとめてあります。

とある葬儀が賛否両論を生んでいる。長期政権の実績をもって国として弔うべきだとか、弔意の強制にあたるとか、様々な意見がでているようだ。上野千鶴子さんらが40万人の反対署名を集めたというニュースも流れた。

 

僕は安倍さんと個人的な知り合いではないので、国葬であろうとなかろうと、中継も見ないし、現地にもいかないし、黙祷もしない。毎日亡くなる人はたくさんおられる。その中で、人間は自分の個人的な知り合いの死を悼むし、知り合ではない人の死は悼まないし、悼みようもない。それだけのことである。

ただ僕が一つ気になるのは、「国葬」を早期に閣議決定した現首相の判断力である。このように世論が割れることをどこまで予測していただろうか。おそらく当日の会場外でも抗議デモが行われるだろう。デモクラシー歴の長いアメリカならば日常的な光景だが、日本では「後味が悪く」なりそうである。

世論の分裂や後味の悪さまで予測して、なお堂々と国葬を行うと決めたのなら、たいしたもんだと思う。しかし、もし予測できていなかったならば、問題は深刻だ。

現首相が国葬を決断したとき、現首相のまわりの雰囲気が「当然国葬でしょ」だったとしたら、それは恐ろしい。現首相のまわりは安倍礼賛ムードしかなかったのかもしれないが、それが局所的なムードにすぎないことに現首相は気が付いていたのだろうか? 世論調査では、今回の国葬について賛成30%台後半、反対50%台というデータが多かった。調査結果が、現首相の実感と大きくずれていたのであれば…、現首相の判断力・予測力には疑問を持たざるを得ない。

 

ちなみに僕は、総理時代の業績でいうなら、小泉さんのほうが拉致被害者一部帰国を実現した点だけでも安部さんより高く評価されるべきと思っている。安倍政権がずばぬけていたのは不祥事・疑惑の多さと、難局時に体調不良で政権を投げ出した回数であり、更に付け加えると、忖度という恐るべき意思決定プロセスがまかり通っていたことが明るみに出た後もなお選挙に勝てていたことである。

 

安部さんはたしかに選挙には強かった。だがそれも宗教団体の組織力に依拠したからであることが徐々に明らかになりつつある。現首相は宗教団体との関係を「整理」といっているが、「整理」して果たしていまの自民党は選挙に勝てるのだろうか…? 「整理」を言明した現首相の判断が是とでるか非とでるか、僕はやや厳しめの予測をいだいているが、はたしてどうだろうか。

 

補足1:世論調査で50%以上の反対がおきている行事をおこなうことは「強行」である。強行を決定できる「内閣府」とはいったいなんなのだろうか。

補足2:そういえば、安倍元首相は、戦後70年談話で「積極的平和主義」ということをおっしゃっていた。ウクライナとロシアの紛争が始まってから、銃撃で亡くなるまである程度の時間があった。「我が国は、いかなる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきである。この原則を、これからも堅く守り、世界の国々にも働きかけてまいります」と談話に記された安倍さんの、積極的平和主義的な観点からの意見を聴きたかったなと思う。