昼間、なにげに見ていたテレビで、今はなき大書家、榊莫山先生の
映像が流れていた。
莫山先生の育った旧家のふすまには、蟹を描いた水墨画があったらしい。
その水墨画のはしっこに書かれていたのが次の言葉らしい。
人皆直行、我独横行。
人はみなまっすぐ進むが、私だけが横に進む。
なるほど、蟹らしいユーモアである。
莫山先生は、この蟹の言葉を、「人まねではなく、自分オリジナルの道をいく」と
理解していたらしい。
まわりのことばかり気にしていると、どんどん型どおりの人間になっていく。
それは、無難ではあるけれど、つまらない。
書道という、まずは形からはいる分野を極めた人の言葉だけに、含蓄がある。
莫山先生は、人まねを極めたところから独自の道を拓きはじめた。
僕も、まずは人まねを極めよう。
そんな思いから、書物を開くのもいいかもしれない。