今年、奥山由之監督によって実写映画化された『秒速5センチメートル』。原作は新海誠監督のアニメ作品である本作を、皆さんはご覧になりましたか?
アニメ版未履修だった僕は、まずアニメ版をアマプラで鑑賞し、その後、映画館で実写版を追いかける形で作品を体験しました。
アニメ版は「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」の3章で構成されていますが、実写版は章立てはなく、関連する記憶に触れながら過去と現在を行き来するようなストーリー展開でした。
夢のような美しい景色の中で展開される恋愛群像劇の中でも、僕は高校時代の繊細な葛藤が描かれた『コスモナウト』が特に好きです。実写版での森七菜さんの演技も最高でした。
物語の主人公、貴樹は「桜花抄」で描かれた初恋の相手、明里にそれ以降もとらわれているかのような状態で、具体的な目標を据えることもなく、ただがむしゃらに高みを目指し、仕事に追われていました。
僕自身、主人公の貴樹のように、具体的な目標や人生の『軸』がないまま、何かを『知る』ことや『こなす』ことで日々を埋めてきたように感じています。毎日を予定で埋め尽くすことで、頭も体もいっぱいにしてしまうのは、ある意味、楽な生き方かもしれません。しかし、何も未来の姿を想像せずにただ今を消費しているのではいずれ限界が来るのだろうと思います。
何もかも自分で決められる自由な今を選択したからこそ、責任を持って未来を描き、進んでいくことが大切であると感じました。
桜の花びらの落ちる速度は秒速5センチメートルらしい。
僕は、それよりも早く進めているだろうか。
次週はドッピオさんにお返しします。お楽しみに。
