MAD HOPE: 狂った願い
星野源の「MAD HOPE」というライブに先日行ってきました。
ここではこのライブで感じた生の感想とそれを踏まえた自分の解釈について少し語ろうかと思います。
冒頭のボイスドラマのセンセーショナルなセリフ
「地獄は行く場所じゃない、私たちが今いるここ、その場所が既に・・・・・・・・・・・・・地獄なんだ」
に打ちのめされ、『地獄でなぜ悪い』へ突入する構成は、今回のライブのテーマを強烈に示していました。
この曲は、星野源さんがくも膜下出血により病床に臥していた時に書かれたものです。底抜けに明るいポップな曲調と、含みのある歌詞のコントラストが私は大好きです。
1番Bメロ
「いつも夢の中で痛みから逃げてるあの娘の裸とか単純な温もりだけを思い出す」
辛く逃げ出したい時にシンプルな目先の欲に釣られてしまう、すぐに逃げ出したくなる自分にはこの歌詞の表現する”弱さ”が刺さりました。
1番Aメロ②
「無駄だ ここは元から楽しい地獄だ生まれ落ちた時から出口はないんだ」
この絶望的なフレーズに、私はある種の力強い開き直りの意志を感じました。結局何を夢想しようと無駄で、どう足掻いてもここは自分にとって地獄でしかない今と、この歌詞が重なりました。
Cメロ
「幾千もの 幾千もの星のような 雲のような「どこまでも」が いつの間にか音を立てて 崩れるさま」
どこまでも、いつまでも自分の描いていた”当たり前”や”普通”が続くと楽観視していた私も、ここでいつの間にかそんな虚構は崩れ去っていました。
ラスサビ
「嘘で出来た世界が目の前を染めて広がるただ地獄を進む者が悲しい記憶に勝つ
作り物だ世界は目の前を染めて広がる動けない場所から君を同じ地獄で待つ同じ地獄で待つ」
私にとって今までの順風満帆な生活が”嘘で出来た世界”なのか、ここで突きつけられた現実のようなものが”嘘で出来た世界”なのかそれはわかりません。それでもこの地獄をどうにかもがいて進んでいくしか今の状態/記憶を克服する術はないのだと思います。
ライブ最後のMCで
「あなたが本当にどん底に落ちた時、そこには僕がいます」
と言ってくれた時は心が救われました。
今の自分が今後の人生を含めた中でのどん底にいるのか、今はまだわかりません。
しかし、あの時、あの会場にいた瞬間は、私が今まで生きてきた中で本当のどん底にいました。そして、この言葉/歌詞の通り星野源という人間/音楽は確かにそこに存在し、私に勇気を与えてくれたのです。
音楽やライブは人生を変えるなんて陳腐な言葉が、私には今までわかっていませんでした。
感動さえすれども人生が変わることはないと高を括っていたのです。
しかし、私はこの「MAD HOPE」で人生が変わったと思います。
ただ地獄を進み、意味なんかなくそこには暮らしがあるだけだと気づき、ただ幸せが1日でも多く側にあるように生きて行く。
これでいいんだと気付かされました。
だって、笑う僕らに勝てる者などいないから。
次週はドッピオさんです。