Prof.Kです。ピンチヒッターです。どうやら筆者にピンチが多いようで・・・
研究室で実験している姿を一瞥するだけで、上手いか下手かは大体わかる。上手い人はまず動きが綺麗だ。そして無駄な動きがない。リズムがある。あたりまえのことをいとも簡単にやっているという雰囲気を醸し出している。周りにそよ風が吹いている。
上手い人を毎日観察していると、いつも同じところに同じものを置いている。試薬瓶は左奥、ピペットチップのケースは右斜め前方、その右にチップ捨ての箱。正面にサンプル入った試験管立て。基本はこの型で、実験操作の内容によりいくつかのバリエーションがあるらしい。
何かに似ていると思った。茶道だ。いつも同じ場所にいつも同じものを置いて動線は常に一定。洗練された定型の美しさ。
研究室で実験を始めたビギナーは、まず上手な人の型を真似よう。まず簡単なのはものの並べ方を真似ること。そして作業を始める前に上手な人の手の動きをイメージしてから始めよう。イメージトレーニングなしで始めた実験は、途中で必要なものがベンチの上にないことに気づいたり、右手と左手がクロスしたり、ストレスフルなものである。
まず型から入ろう。それが上達の近道。
いつも細胞培養でコンタミさせている君、蓋を開けたシャーレの上で手をガサゴソ動かしていないか?
あらわなる肘より先を差し入れてあなたの無菌操作うつくし 永田 紅
(歌集「日輪」より)