この絵本の訳者である佐和隆光氏の解説を紹介しましょう。
「……経済学の"理論"をまじめに幼児に教えこむことが、この本のねらいである。
日本人の読者なら『幼児に経済学を教えるなんて、とんでもないことだ』と思われるかもしれない。
しかし私が思うに、アメリカにおいて経済学の教育は、いわば性教育のようなものらしい。
アメリカ社会をつつがなく生きていくためには、経済学の基礎的知識が、不可欠とはいわないまでも、大いに助けとなる。……」
佐和氏のこの解説文中の「経済学」という言葉を、そのまま「マネー・マネージメント」におき替えて読んでいただきたい。
アメリカ人にとって、暮らしのなかでの経済学とは、より具体的には、マネー・マネジメントに他ならないと思います。
どうやらアメリカ人は、おとぎ話や民話と同じくらいに、幼児に現実の世の中の仕組みを教え、処世術を教えることも大切だと考えているようです。
アメリカのクレジット文明の発展は、実はこのような背景があってはじめて成り立っているのです。
果たして真の意味での個人、「信用」の構築確立が可能なのでしょうか。
私にはそれに答える自信がありません。
ともあれ、近年急成長を遂げたクレジット産業界にとって、こうした「インフラ
」の確立こそ、今後の産業の命運を左右する鍵であることだけは確かです。
日本のクレジット産業界での環境条件は、アメリカと比べるといっそう厳しいといわねばなりません。
なぜなら、日本の産業界にとって、さしあたってまず、「大人」のための「マネー・マネジメント教育の徹底」という大きな課題が、いまだにほとんど手つかずのまま「無視」されているからです。