『銀河帝国の興亡3回天編』解説 | marginalia

東京創元社から5月31日に発売予定の『銀河帝国の興亡3回天編』アイザック・アシモフ(鍛治靖子訳)の巻末解説を書いています。

 

 

一巻目の解説が牧眞司さん、二巻目が堺三保さんで、もうほとんど内容については書き尽くされているように思えたので、今回は少し捻った観点から作品を見てみました。まずアシモフが参考したというギボンとの比較から「帝国」と「宗教」の主題について、次に第二ファウンデーションの秘密結社的なありようから生み出されるアイロニカルな物語構造についてです。例によってwebで公開されているので、興味を持たれた方は読んでみてください。

 

 

最初タイトルを「〜滑稽な悲劇性」としようかと思ったのですが、それはまあやはり少し穿ち過ぎだろうかと思い直して修正しました。しかしアシモフの作品は基本的にアイロニーが基底に流れていて、その一種の明晰な諦観とでもいった態度が物語を「真理」の側から「人間」の側に据える力になっているのだと思います。