変なお天気が続いてたけど

やっとこの時期らしいお天気になってくれて

今度は日差しガンガンの30度越えで、突然の真夏日和。

この前の雹が降った時は

ブダペストの至る所で冠水や倒木の被害があったみたいだし

別の地域でも同じようにゲリラ豪雨が起こってるようなので

このまま穏やかなお天気が続けばいいなぁと。

そんなことを思いながら、色々と思うことがあったので

ブログを書いてみたら、やっぱり未だにモヤモヤしてるからやっぱり滅茶苦茶長くなってしまったけれど

せめて寒暖差のない、夏らしい夏であるといいなぁ。



そういえば、世界中でオンライン授業が行われてる・行われていた昨今だけれど

リスト音楽院では、授業に限らずテスト・試験もオンラインでの実施。

幸い、わたしが履修していた座学授業は、もともとテストを実施する予定ではなかったから

予定通り(予定以上の量の)レポート課題だったのだったけど

実技系の授業・レッスンの「試験」も、オンライン、あるいは「試験なしで、オンライン授業の中で評価」でした。

最初、緊急事態宣言が発令された3月中旬の時点で

「まだ学校としての正式決定じゃないけど、学校の意向としては再開は9月と考えていて、このセメスターは全てオンラインで行うことになると思う。試験も全てオンラインになる方向性で話は動いてます。ちなみに、オペラ科のオペラ公演は中止です。」

と、わたしの先生でもある声楽科の主任教授が、あくまでも個人的に

声楽科の関係者(学生や声楽の先生達はもちろん、コレペティの先生や、演技の先生も含めた、声楽科に関わりがある人全員)に向けて

学長とのミーティングの情報共有をしてくれていて、その時点で

「このオンライン試験は、学生と教員が接触しないことが条件だから、コレペティの録音に合わせて歌う、すなわち“カラオケ動画”を送ってもらうことになると思う。コレペティの先生達も、学生のみんなも、少しずつそのつもりで準備をはじめてみて!初めての事で大変だと思うけど、とりあえずみんなで試してみましょ!」

とも書いてありました。

(メールは全文ハンガリー語だったから、直後にあったレッスンで先生に直接解説してもらったのだけど)

どうやら、そのような対応がされていたのは声楽科だけだったみたいで

その時にメラート先生がこのような情報共有をしてくれたからこそ

「学校から何の連絡もないけど、試験ってどうなるの?」

といった、他の子たちが抱えてたような不安は全くなかったものの

(声楽科だけの情報共有だとすぐに気づいたから、誰にも何も言わなかったのは本当に申し訳ないけど)

偶然、数分後に学校のオフィスから

「このセメスターを休学するなら、直ぐに申し出てね!自費で学んでる子の場合は学費返金するよ~!」

というメールも送られてきたこともあって

「それなら修了を1年遅らせて、来年の6月に例年通りちゃんと演奏会形式での試験、オペラ公演をしたうえで修了したいし、一旦日本帰ろうかな」

と思ったものの、両親や先生たち、インドやアルゼンチンにいる友人とも十分話して

オフィスにも「自費じゃない場合、奨学生って休学できるの?」と質問したりして

今の自分に一番大切なものは何か、今一度考え、思い直した結果、まだハンガリーに留まっているのだけれど。

その後、メラート先生の提案通り、カラオケ試験動画作成の為に、コレペティのミクローシュ先生と何度も何度もやり取りを重ねつつ

録画して、それをメラート先生に送る、という作業を毎日したのだけど

「●ページの○小節目、髪の毛1本分、もう少し早く和音が欲しいです」とかそういうやり取りを続けて

3分程度の1曲をなんとか形に仕上げるだけで、3週間以上かかってしまい

オペラ科は通常のアリア試験通り、2曲の録音だけなのに(オラトリオ科は30~40分とかだったと思う)

3人で「比較的合わせやすそう」と意見が一致してた1曲目ですら、ボキボキに骨が折れたので

「あぁ無理だ。2曲目のアリアは喋る部分が大半を占めてるし、10分近いし、無謀すぎる」

と頭を抱えつつ、2曲目に取り組み始めてた時に、また学校のオフィスから

「このセメスターは実技試験は実施しません。ただ、卒業年次の生徒のみ、卒業試験を独奏で「録音」か「大ホールでの完全非公開」として実施するよ!どちらかを選んでね!全員、3日以内に時間厳守で返事をしてね!決定は変えられないよ!」

と正式な決定メールが来ていて、また思考停止。

恐らく楽器専攻の場合、無伴奏のものはあるけど

オペラ科もオラトリオ科も無伴奏は無いので、必然的に録音=伴奏録音に合わせたカラオケと理解したし

楽器専攻の場合、卒業試験は、日にちも自分で決めて希望のホールを予約して行うし

プログラムに関しては、1年以上前から構想を練ってるし

独奏はもちろん、オーケストラにお願いしてコンチェルトを演奏する予定だった子もいるし

共演をお願いして、二台ピアノや室内楽プログラムだったりを組んでた子もいて

それをいきなり「大学院生は最大30分〜40分のソロピースで」と指示されても...となりました。

わたしはよく思考停止するのだけど、今回、本当に色々なことがコロコロと変わることばかりで、その度にパニックになって思考停止。

ただ、大ホールで演奏できても完全非公開(ライブストリーミングで、教授たちはそれぞれの自宅から鑑賞)だし

学校を選択したらミクローシュ先生の伴奏で歌えるということか!と思ってミクローシュ先生に「学校での試験を選択したら、遂に会えますね!!!」とメールしたら

ミクローシュ先生に限らず、健康上の理由や同居家族に高齢者が居る等、それぞれ様々な理由で、殆どのコレペティの先生が「I can’t 」状態で

ミクローシュ先生には伴奏して貰えない、初対面のコレペティの方に伴奏してもらう事になるのもわかったし

試験日や時間には一切希望を出せず、学校が決定するスケジュールに絶対的に従うことが絶対条件で

試験実施日が明記されていたのだけど、早ければ自分が1週間後の試験日になる可能性もゼロではなく

録音動画提出の場合は、締め切りが1ヶ月半近く先で

そもそも、そんな決定をたった3日でしなくてはならず。

曲目の事も含めて、全員、それぞれに頭が痛い3日間だったんじゃないかなぁ。

卒業に関する大切なことだからこそ、双方のメリットとデメリットを同じだけリストアップ出来たからこそ、選べない!たった3日では決めれない!あまりにも無情だ!と憤慨して悩んだものの

結局、優柔不断なわたしは締め切り日まで答えは出せず、幸い、締め切り6時間前にメラート先生のレッスンがあったから

素直に思ってることを話して、先生の意見も聞いたうえで、学校の大ホールでの試験を選択しました。


数日後に送られてきたタイムテーブルを見て

メラート先生から「現時点では、学校での試験を選択している生徒は少ないって聞いてる」とは聞いていたけど

確かに少なくて、自分の(録画作成に対する)努力が足りなかったのか、とか、もう変えられない事なのに無駄に悩んで

その日の夜に、METの「お家でオペラガラ!」みたいな世界ネット配信のライブコンサートを見て

やっと自分に納得。

そこからは、やっと歌うことに切り替えることが出来たけれど、なんだかな。



ディプロマコンサートの日は、入校時には同意書(今回の外出で感染しても、学校は責任は取らないよ!という内容)の記入と、非接触型の体温チェック(37度あると入校できなかったはず)がありました。


客席1000席くらいなのかなぁ、空っぽで真っ暗な空間に向かって、だけど画面の向こうにいる誰かに向かって歌うのは、なんだか、終わって暫く経った今でも、不思議な感覚。

注意力散漫というわけではないけれど

普段、客席に座っている方の顔を、なるべく一人一人見て、色々と遊びながら歌っているからかもしれないけれど。



なんだかな。

この前、ウクライナ人のバイオリンの友達とお散歩した時

「試験お疲れ。上手くいかんかったん?」と聞かれたから

ディプロマコンサートの動画を見せつつ「なんだかなぁ」と、素直な感情を話したら

「ええやん。それでええんやで」って言っていて、「あぁ、そうなのか」と。




新しく出会うことが出来たコレペティさん、とってもハートフルで素敵な方だったし

学校は入校不可だけど、何度かリハーサルを組んでくれて




自分が大ホールを選択しなければ、リスト音楽院で働いていないドーラとは出会う事も出来なかったし

彼女のチャーミングで透き通ってるあったかい音と一緒に歌う事も出来なかったし

選択を後悔はしてないけれど、やっとアウトプット出来るようになったものの

上手な言葉にならない時点で、やっぱり色々モヤモヤ。


ただ、学校での試験と決めてからディプロマが終わるまで、ずっとパニックしてたから

リハーサルもバタバタしてて、時間が無くて髪の毛も巻けなかったことも「なんだかな」だけど


日本から持って来てたはずのパニエが見つからなくて、仕方なしにパニエ無しでドレス着たけど

(パニエは数日前、毎日使ってるクローゼットの、とってもわかりやすい所から無事に発掘されて、色々と思い出した)

前日の裁縫が功を奏したのか、あまりわからなくて、それだけは満足。

やっぱり本当に美しくて、いつもコンサートに行く度に幸せだなぁと思うんだけど

去年も思ったけど、特にステージからの眺めは、最高に素敵だなぁと。