認知症ケア 理論と実践のあいだ -6ページ目

認知症ケア 理論と実践のあいだ

認知症について語る
介護施設での十数年間のケアを振り返りながら
認知症の基本的な理解を交えて語っていく

5分前のことを忘れてしまう

何度も同じことを繰り返し訴える

帰りたいと訴える

物を取られたと訴える



認知症を患った方は、その行動障害において様々な症状が現れる。

そんな時、混乱や不安に陥っていることがあり

こんなときは

介護者による支援が必要である

適切な支援が行われることによって

不安や混乱は最小限に抑えられ

自ら行動し実現することの喜びと安心を得ることができ

自信と意欲をもてる





介護の世界

・・特に職業として介護を仕事にしているからには

やってはいけない介護がある



介護者が陥る大きな大きなミス

新人の介護員が犯しやすいミス

ベテラン介護員が陥るミス



ある認知症の人・・・Aさん

帰宅願望のある人だ

その人が自分の席から立ち上がり、室内を歩く

・・・すかさず介護員は「○○さん!どうしたの!どこ行くの!?」と声をかける

その人が玄関の方に歩いていくと

・・・すかさず介護員は「座っていてください、心配いらないから!」と座らせる

すばやい対応だ

まったく隙がない

徹底的な管理だ

??なぜ、座っていないといけないのか?

??何か心配だとでも言ったのか?



介護員は言う

不安になる前に声をかけました

すばやく不安を解消しました、と自信満々だ

おとなしく座らせていますよ




これは

余計なお世話だ

そんな介護を続けていくうちに

どんどんAさんは何もできなくされていく

介護員は無意識のうちに

優秀な監視員となり

介護という名の独房を創り上げていく






別の認知症の人・・・Bさん

自分がどこにいるかわからなくなる

その人が室内で目をキョロキョロさせている

・・・介護員は誰も声をかけない

目が険しくなり表情は固くなる

・・・介護員は誰も声をかけない

ドアに鍵がかけてあるから出ていけない

・・・介護員は、出ていかないなら安心と 声をかけない

ひたすら室内を歩き回っている

歩いて歩いて まるで回廊を彷徨うように歩く 不安は高まる

・・・介護員は声をかけない ほっておいても玄関からでていかないから



介護員は言う

自立支援ですよ

歩くことは歩行運動になるから

自由にさせてあげているのですよ

別に外に出ていくわけじゃないですから

転倒する人じゃないし




これは

ほったらかしだ

ますますBさんは不安が深くなる

深い深い世界に陥っていく

介護員は何もしていない

介護員がいる意味はない

錠で閉ざされた檻の中に閉じ込めているだけ

鎖でつながれている範囲なら、どうぞご自由にしてください

と言っているも同然である



Aさんへの介護員の対応も

Bさんへの介護員の対応も

どちらも、介護施設では決して珍しくないことである
何かしたいと思って動けば声かけられる
何か気になって自ら動けば止められる
不安で探し回っても誰も声をかけてくれない
混乱してどうしてよいかわからなくなっていても誰も声をかけてくれない




人を人としてみていない

認知症についてまったくわかっていない

介護を仕事とする者は

認知症にかかわる介護を仕事とする者は



声掛けと余計なお世話の違いを理解しなければいけない

自立支援とほったらかしの違いを理解しなければいけない



なぜ認知症だからといって、全ての行動に介護員の声掛けを受けなければいけないのか

なぜ認知症だからといって、思うままに行動してはいけないのか



なぜ不安で混乱しているのに、介護員は声をかけてくれないのか

なぜ不安で混乱しているのに、介護員は転倒や行方不明にならないという理由だけで、ほったらかしにするのか





認知症を患った人が、何か目的をもって行動をしようとしているのか

そこに不安が起きているのか、混乱が生じているのか、ちゃんとそこを見極めないといけない。

そっと見守りができる目と 不安を見逃さない目の 両方を備えることが必要だ