妻は告白する | ウズブロイェニエのブログ

ウズブロイェニエのブログ

ほのぼのやってマス♫


妻は告白する(1961年)

監督 増村保造
出演 若尾文子
   川口宏
   小沢栄太郎
   馬淵晴子

**北穂高山の岩壁で一件の遭難事故があった。事故は、まず大学の助教授の男が足を滑らし落下、そのままザイルにつながれていた彼の妻も落下、それを上で仕事上彼らと親しくしていた若い男が支え、宙づりの状態で辛うじて保っていた。妻が自分の下方のザイルを切ったので助教授だけが谷底へ転落し死亡したが、2人は道ずれにならずにすんだ。しかし、助教授は多額の保険をかけられていたこともわかり、検察側は妻の殺意をうたがった**



増村&若尾の傑作。DVDの特典でも若尾が語っているが、役作りをする段階できちんと準備してから撮影現場に入ることができたとのことで、この作品での演技は確かに素晴らしく思えた。特に、台詞の無い無言の場面での表情も繊細で、増村もそういったシーンを多く取り入れ若尾の魅力を上手く引き出している。絢子がずぶ濡れで幸田の会社に会いに来てしまい、入り口でたっているカットは確かにインパクトがある。当時の新しい女性像を映す鏡としては若尾は適した女優の一人であろう。当時、年間10本ペースで映画の撮影があるほどの売れっ子だったので満足に準備ができないというのもすごい。ストーリーとしては前半は緊迫感にイマイチ欠けた公判が続きダタダタした感じも受けるが、これが良い前フリになっていてラスト30分くらいから物語が一気に展開する。ラスト判明でするのだが前半の裁判のシーンでもたびたびでてくる絢子と滝川が宙づりになるシーンがまさにあのときの絢子の心情を映しているのも面白い。人生にとってもはや重荷でしかなくなってしまった滝川を切り捨て、思いを寄せる幸田に引き上げてもらうという絢子の幻想と願望と事故現場での現実が重なる。滝川が下でもがく事によって絢子に巻き付けたザイルが締め付けられ絢子の苦しみはいっそう増してしまい、上で支える幸田の体力も消耗させてしまう。この状況が滝川と絢子の結婚生活と見事に一致している。あんな絶壁を素人2人が登れる訳が無いのだが、映画上どうしても滝川夫婦の結婚生活を表す上では絶壁が必要になってしまったのだろう。仮に緩やかな斜面を滝川が転がり落ちても、絢子の心情に置き換える事ができなかっただろう。