レース用マフラーのお話 | ダブルアールズマフラー開発 日々の出来事。

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日々の出来事を中心に現在開発中の製品に関しての情報や、その他バイクに関する情報等を書いていきたいと思いますので宜しくお願い致します。

皆様こんにちは。

本日は少しだけレース用マフラーのお話を。

 

弊社はYZF-R25用レースマフラー、そして2016年当時に雑誌の企画をきっかけで、もて耐出場に向けてNinja250SL用レースマフラーをリリースしていましたが、現在はどちらも廃盤・販売終了となっています。

 

現在は「WR'S × ZIP MOTOR PRO コラボレーション レース用マフラー」として販売しているBMW G310R用レースマフラーのみ「ZIP MOTOR PRO (ジップモータープロ)」さんより継続販売しているのですが、このBMW G310Rも、もて耐に向けて開発したマフラーでした。

 

レース用マフラーはパワーを引き出す目的で造るのは間違いないのですが、私の場合はレース用と言えど、「目的別」に考えてレース用を開発しています。

 

例えばJP250が全日本併催になった年にリリースしたYZF-R25用レースマフラーは、プライベーターチームでしたが年間ランキングを争うチームへの供給とあって純粋なレース用として開発、必要に応じてアップデートも行なっていました。

また、もて耐に出場する目的でNinja250SLを開発した時にはレース用マフラーですが、若干味付けを変えて開発を行ないました。

 

Ninja250SLの場合はバイク雑誌のライターさんが、「初めてサーキットを走り、そしてもて耐に出場する」といった感じの企画であり、写真の通り排気系以外はノーマルに近い状態でのレース車両でした。

※ マフラー+フルコンの組み合わせでした。

 

当然パワーアップを目指して開発するのですが、ライダーがサーキット走行をする事が初めてというところからのスタートという事もあり、「ビギナーレーサーでも扱い易い特性」にしようと考え、その前提での開発としました。

 

具体的にいうと、プロライダーに比べて当然ながらビギナーライダーはコーナー前後でパワーバンドを外してしまう(回転数が落ち過ぎる)傾向がある事から、ピークパワー重視よりかは「中高速域~高速域」といった事をポイントに置いてベンチテストを開始、エキパイの管長及びパイプ径を選定し、その事もあってかなり扱い易い部類のレース用マフラーが完成しました。

 

また、BMW 310Rもそれに似たコンセプトで開発に入りましたが、最初のテストでは中速域に少し特化し過ぎた事もあって、リリース時までにモテギのレイアウト(特性)に合わせて管長のアップデートを繰り返し完成しました。

特にG310Rに関しては、サーキットでどんなパフォーマンスを示すのか皆さん手探りだった事もありますが、開発当初から製品化する上で仕様がかなり変わりましたね。

 

この車両は2020年のもて耐優勝車両になりますが、年々、BMW310Rユーザーチームのレベルも上がっている事から、管長等はこの仕様のまま、サイレンサーの仕様変更をしてアップデートを図ろうとジップモータープロさんと相談、上手く行けばこれまでのユーザーの皆さんにも使用頂けるという事で、先日の鈴鹿(東コース)でテストを行なって来て頂きました。

 

サイレンサーの仕様違いは以前から構想にあったのですが、結果的に上手く機能した様でストレート速度も上がり、タイム的にもロガー上でも効果が確認出来ました。

ただ、ジップモータープロさんから「ちょっと音量が心配かも?」という事だったので、車両が戻って来たタイミングで音量チェックを行う事に。

 

結果は「101.3~101.5dB/5,000rpm」と、レース音量上限値である「105dB」を余裕を持ってクリアしてるので一安心。ただ、アクセルを開けた時の「バリバリ~」的な音。。。特にこの時期の始動の際のオートチョーク時が個人的に耳を衝くので、このままの仕様でもいいのですが、少し内部形状を変更した物を造ってまたテストで乗って貰おうと思っています。

 

今回のテストではライダーにも好評だったので、このマフラーを愛用されている他ユーザーさんにもアップデートパーツとしてこのサイレンサーを販売出来る様に進めていければと思っています。

※ 販売窓口は弊社でなく「ZIP MOTOR PRO(ジップモータープロ)」さんになります。

 

車体の完成度が上がるに連れて、ちょっとした事でアップデートに繋がる事もあったりなかったりする訳ですが、サーキットを走るユーザーの選択肢が増えるのは良い事なので、シーズン開幕前までにカタチにしたいと思っています。

 

最後にNinja250SLの話に戻りますが、弊社では販売終了しておりますが、同い年で友人でもあるアンレーベルさんがSUS441さんと共同で、弊社のNinja250SLレース用をベンチマーク、更にアップデートをすべく現在開発されているみたいです。

Ninja250SLレース用に関して最近でもお問い合わせを頂きますが、バトンタッチという事でアンレーベルさんのリリースを心待ちにして頂けたらと思います。

 

辻井さん、頑張ってな!(笑)

 

という事で本日はこの辺りで。