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漂白剤を使った危険な治療法、自閉症の子供に試した母親もEJ Dickson 2019/05/23 20:11© Culture Entertainment Co.,Ltd. 提供

 「反ワクチン」を掲げ、漂白剤を「特効薬」として宣伝する動画コンテンツがYouTube上に多数存在する。漂白剤が自閉症の治療薬になるという考えを最初に推奨したのは、過激思想の宗教団体のリーダー、ジム・ハブル氏だ。
ミラクル・ミネラル溶液(MMS)と呼ばれる「奇跡の」物質を不法に販売していたことでも知られ、本人は南米赴任中にこれでマラリアを治したと主張している。
MMSの中身は亜塩素酸ナトリウムとレモン汁のような酸性物質で、この2つを混合すると、

 市販の漂白剤によく使われる
【二酸化塩素】が生成される。 

大量に摂取すると吐き気や嘔吐、重度の脱水症状、さらに腎機能障害を引き起こす。 
MMSの効能についてはアメリカ食品医療品局が何度となく警告を出している(ハンブル氏自身もMMSの成分に「治療効果はない」と公に認めている)にもかかわらず、ニュースサイトBusiness Insiderの調査によると、いまなおYouTubeにはハンブル氏がMMSを、よりによって、自閉症の治療薬として推奨する画像が山のように出回っている。また調査では、動画が簡単にYouTubeで閲覧できること、「自閉症」といったワードで検索すると上位に挙がってくること、場合によっては閲覧回数が何百万回にも上っていることも判明した。 
個人が運営する数々のFacebookグループでも、MMSやその他さまざまな形状の亜塩素酸ナトリウムが自閉症の治療薬として宣伝されている。

こうしたグループはかなり高い確率で「ワクチンに反対する」コンテンツも扱っているが、漂白剤治療を自閉症の子供に試したという母親の驚くべき証言や、実際とは真逆の身の毛もよだつ効能を掲載している。
驚愕のケースでは、6歳の自閉症の息子を持つ母親が…
「腸管洗浄剤」を息子に飲ませたとして、警察の取り調べを受けた。その結果息子は脱腸し、人工肛門の世話になる羽目になったという。 
(※腸管洗浄剤https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%8C%E5%8F%A3%E8%85%B8%E7%AE%A1%E6%B4%97%E6%B5%84%E5%89%A4)

AmazonやFacebook、YouTubeの親会社Googleなど大手IT企業はこのようなコンテンツの報告を受けて公式声明を発表し、コンテンツの取り締まりを約束した。
Amazonは3月、MMS賛成派のケリ・リベラ氏の著作など、自閉症治療に漂白剤を勧める大量の書籍を禁止した。YouTubeは今月初め、Business Insiderの取材に対し、すでに大量の動画を削除したとコメントし、同社の「コミュニティ・ガイドラインでは、人体に害を及ぼしうる危険な行為を推奨するコンテンツは禁じられており、規則違反が疑われる動画はただちに削除するようにしております」と書簡で返答した。 
にもかかわらず、いまだに多くの動画がYouTubeに掲載されており、MMS支持者は次から次へとチャンネルを量産している。そうしたチャンネルの一つがMMSTestimonialsUnofficialで、掲載している動画の上にバナーを張って、このチャンネルの目的は「オリジナル MMStestimonialsチャンネルや、その他二酸化塩素に関する研究、YouTubeやAmazon、Facebook、Googleなどで削除された関連トピックスから動画を回収し、保存、拡散するもの」だと宣言している。
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次亜塩素酸ナトリウムと、安定化二酸化塩素。

同じ消毒剤だがどこが違う?

近年、塩素の力を使った空間除菌に使用されている薬品は、「安定化二酸化塩素」と呼ばれていますが、これは特定の化学薬品を指した名称ではなく、プールの消毒剤などに利用されている「二酸化塩素」を発生する薬品の総称です。


塩素といえばキッチンや浴室のカビ取りや漂白に使う

「次亜塩素酸ナトリウム」

がなじみ深いですが、次亜塩素酸ナトリウムと二酸化塩素は、どこが違うのでしょうか。

 

次亜塩素酸ナトリウムと二酸化塩素の違い

安全性

次亜塩素酸ナトリウムや二酸化塩素の中に含まれている「塩素」は、強力な酸化力を持つ化学物質です。

その強い酸化力があるからこそ消毒剤としての効果を発揮することができるのですが、人体にも毒性や刺激性があり、塩素ガスを吸ったり、高濃度の塩素系薬品を飲んだりすると健康被害を起こします。

次亜塩素酸ナトリウムは塩素に近い化学特性を持っているため、消毒や漂白の効果は高いものの、人体や金属に対する影響力が強く、蒸気を吸うことで頭痛や吐き気を感じることがあります。

一方、二酸化塩素は体内にも存在する成分なので安全性が高く、人体や金属へもほとんど影響しないといわれています。

 

二酸化塩素は「有害な副産物」ができない

次亜塩素酸ナトリウムを消毒剤として使用すると、薬品のなかのナトリウムが有機物と反応し、フルオロホルム、クロロジフルオロメタン、クロロホルムなど、「トリハロメタン」と呼ばれる有害な化合物を作ることがあります。

なかでもクロロホルムは発ガン性や催奇性、肝障害や腎障害を引き起こすリスクが高い「有害な副産物」です。

一方、二酸化塩素はナトリウムを含んでいないため、有機物と反応してトリハロメタンを生成することがありません。薬品自体の安全性が高いだけではなく、有害な副産物ができないという点からも、次亜塩素酸ナトリウムよりも安全といえます。

 

二酸化塩素と安定化二酸化塩素は別物

安定化二酸化塩素は二酸化塩素ではない

次亜塩素酸ナトリウムよりも安全性が高く、消毒剤としても優れた二酸化塩素ですが、二酸化塩素は多少の熱や光で分解されてしまう不安定なガスであるため、そのままの状態で保存することが難しいという問題があります。

そのため、一般的には水に溶け込ませた「二酸化塩素水溶液」として運搬・保存するのですが、二酸化塩素水溶液は少しの衝撃や紫外線に敏感に反応してガスを放出・分解するため、二酸化塩素の濃度を維持することができません。

一方、安定化二酸化塩素は、保存性が悪いという二酸化塩素の欠点を補うために、物性的に安定な状態を保ちつつ、徐々に二酸化塩素を放出するように安定化した薬剤のことです。

例えば、亜塩素酸塩という薬品に酸を加えて反応させる二酸化塩素を発生させることができます。「安定化二酸化塩素」は、この反応がゆっくりと起こるように調節された混合物であり、二酸化塩素そのものではありません。

 

二酸化塩素製品を購入するときは注意が必要

空間除菌などの消毒を目的として販売されている二酸化塩素製品には、二酸化塩素水溶液に加工を行い、二酸化塩素ガスの放出と分解を抑制した製品と、安定化二酸化塩素を使った製品の2通りがあります。

二酸化塩素を保存・発生させる仕組みは製品によって異なりますが、安定化二酸化塩素製品のなかには「二酸化塩素が発生するのは最初だけ」という商品も存在します。

二酸化塩素製品、とくに安定化二酸化塩素を使った製品を購入するときは、効果の持続性などに注意して製品を選ぶ必要があります。

 

まとめ

二酸化塩素は、アメリカ環境保護庁、アメリカ食品薬品局、世界保健機構(WHO)において安全性、殺菌消毒性能、脱臭性能、防腐等の効果が認められている、安心・安全な消毒剤です。

しかし、二酸化塩素製品は品質や効果にばらつきがあるため、利用する時は「どの製品を選ぶか」がより重要となります。

 

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