昔より 

感じる暑さが 二倍三倍は当たり前( ゚Д゚)。

今や不快指数は五倍、逃げ場がない 不快な季節に!

 

平均気温1℃上昇では見えない

 

「暑さの総量」で比べる、昔と今の夏

昔に比べて、現代の夏は明らかに暑い。

 

ところが気象データを見ると、東京の8月の平均気温は、1960年代から近年までで約1~2℃の上昇とされている。

 

「本当に、それだけなのだろうか?」

 

身体で感じている変化は、もっと大きいように思える。

 

そこで、一日の気温を点ではなく、グラフの面積として考えてみることにした。

 

最高気温ではなく「高さ×時間」で考える

 

最高気温だけを見れば、暑さの頂点しか分からない。

 

しかし人間が実際に受ける負担は、

 


  • 何度まで上がったか

  • その暑さが何時間続いたか

  • 夜にどこまで下がったか



  •  
  •  

 

によって変わる。

 

そこで、一日の気温曲線について、一定の温度を超えた部分の面積を計算する。

 

たとえば、32℃が3時間続いた場合、30℃を基準にすれば、

 

(32℃-30℃)×3時間=6℃・時間

 

となる。

 

これは「30℃を超えた暑さの総量」と考えることができる。

 

東京の8月を、1960年代と近年で比較する

 

気象庁の東京の観測値から、1960~1969年と2016~2025年の8月について、平均気温、平均最高気温、平均最低気温を使い、「平均的な一日」の気温曲線を近似した。

 

その結果、次のようになった。

 

28℃を超えた暑さ

 


  • 1960年代:約19.4℃・時間/日

  • 2016~2025年:約32.7℃・時間/日



  •  
  •  

 

近年は、1960年代の約1.7倍である。

 

30℃を超えた暑さ

 


  • 1960年代:約4.3℃・時間/日

  • 2016~2025年:約13.6℃・時間/日



  •  
  •  

 

こちらは約3.2倍になる。

 

つまり、平均気温の差は約1℃でも、人間が明確に暑いと感じる30℃以上の領域では、「高さ×持続時間」が約3倍になっているという試算になった。

 

さらに、特に暑かった2023~2025年を1960年代と比較すると、30℃超過面積は約5~6倍となる。

 

昔にも暑い日はあった。

 

しかし昔の30℃以上は、一日の気温曲線の頂上付近に短時間だけ現れるものだった。

 

現代では、30℃以上が幅広い山、あるいは台地のようになり、昼間の長い時間を占めている。

 

日本の夏では、湿度を無視できない

 

ただし、気温だけでは日本の夏のつらさを十分に表せない。

 

人間は汗を蒸発させることで身体の熱を逃がしている。湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、同じ30℃でも身体への負担は大きくなる。

 

そこで、気温と湿度を組み合わせた「不快指数」を使って、同じように基準値を超えた面積を考えた。

 

目安としては、

 


  • 不快指数75以上:暑さを不快に感じる人が増える

  • 不快指数80以上:ほとんどの人が不快に感じる

  • 不快指数85以上:耐え難いほど蒸し暑い



  •  
  •  

 

とされる。

 

東京の8月について、気温と水蒸気量から一日の不快指数曲線を近似すると、次のような結果になった。

 

不快指数80を超えた部分の面積

 


  • 1960年代:約4.9指数・時間/日

  • 2016~2025年:約24.2指数・時間/日

  • 2023~2025年:約41.0指数・時間/日



  •  
  •  

 

近年10年間では1960年代の約5倍。

 

直近3年間では約8倍となる。

 

平均気温では約1~2℃の上昇にしか見えないが、「ほとんどの人が不快に感じる蒸し暑さの総量」は、数倍に増えている可能性がある。

 

現代は「不快でない時間」が失われた

 

さらに重要なのは、夜間である。

 

1960年代の平均的な一日には、不快指数75を下回る時間が数時間あった。

 

昼間は暑くても、夜から早朝にかけてはいったん暑さから抜けられたのである。

 

ところが近年の試算では、一日の最低不快指数でも75を超え、24時間を通して不快域から抜けられない。

 

現代の夏のつらさは、昼間の最高気温だけではない。

 

夜になっても気温と湿度が下がらず、身体、家、道路、建物が冷えない。身体が回復する時間が失われ、その疲労を翌日へ持ち越す。

 

言ってみれば、

 

 

昔は暑さに出口があった。

現代の夏は、出口がなくなりつつある。

 

ということではないか。

 

温暖化は「何度上がったか」だけでは伝わらない

 

温暖化について「平均気温が1.5℃上昇した」と説明されると、多くの人は、

 

「30℃が31.5℃になる程度か」

 

と受け取ってしまう。

 

しかし気温曲線全体がわずかに上へ移動すると、人間にとって不快・危険な基準線を超える面積は、急激に大きくなる。

 

温暖化とは、すべての時間が均等に少し暖かくなることではない。

 


  • 不快な温度に入る時間が増える

  • 高温がより長く続く

  • 夜になっても基準線の下へ戻らない

  • 湿度によって身体の冷却が妨げられる



  •  
  •  

 

という変化である。

 

だから、温暖化を生活実感として伝えるには、平均気温や最高気温だけでなく、

 

 

「不快な暑さが、どれほど高く、どれほど長く続いたか」

 

を示す必要がある。

 

最高気温は、その日の事件を示す数字である。

 

一方、基準温度や不快指数を超えた面積は、その夏の構造を示す数字である。

 

平均気温では約1~2℃の上昇。

 

しかし、人間が強く不快に感じる暑さの総量は、数倍に増えている可能性がある。

 

このように考えれば、「昔よりはるかに暑く感じる」という私たちの感覚は、単なる思い出補正ではなく、数字として説明できるのではないだろうか。

 


 

※本稿の数値は、気象庁の東京における8月の平均気温・平均最高気温・平均最低気温・湿度・蒸気圧などをもとに、「平均的な一日」の曲線を復元して計算した試算値です。実際の毎時観測値を一日ずつ積算した確定値ではありません。特に高温域については、平均化によって猛暑日の山が低くなるため、実際の超過量を過小評価している可能性があります。正確な比較には、各年8月の毎時の気温と湿度から不快指数を算出し、その後に積算する必要があります。