父親が亡くなってからもう何年たったか、、、、
先日、生前の父を知る方からお話しを伺った。
「お父さんはねー、、そりゃあ怖かったよーー、話すとき結構緊張したものねー、威張ってるやつとかいると、誰とでもけんかしてたもんねーー。頭いいでしょ、、容赦なかったなー」
戦争の生き残りである父は、強気な性格も相まって、上から物言う権力者が大嫌い。戦前、祖父が大学教授で文京区のど真ん中に住んでいた頃、家の前の大通りを陛下の車が通った事があったそうで、その時大勢の憲兵が出動、通りの道端に住民を土下座させ、陛下の車が通りすぎるまで顔を上げるな、陛下を直視するなと命令。また二階屋の窓は全てカーテンを閉めさせ、決して顔を出さないよう、くれぐれも陛下を見下ろす事が無いようにと厳命されたそうな。。。
そのときの事を父は「屈辱だったぞ、、、(チッ)」と、苦い顔して言っていたことがあった。元々のそんな性格の上、
戦争で理不尽な扱いを受けた事、戦後、えばっていた連中の変わり身の早さに呆れた事等など相まって、
極端な権力者嫌いになっていた。(裏返せば望んでも得られなかった事への恨みとも取れるが、、)

その方の話は続いた
「昔ねー、お父さんとフィリピンかなーー 仕事で行ったことあったのよ、当時はマルコス独裁政権でしょ、飛行機で小さい空港着くとさ、目の前の入国管理事務所まで歩くわけさ、2~300メータあったかな。。でその時は、独裁政権の専用機も一緒に空港にいてさ、そっちは赤じゅうたんがタラップから事務所までずーっと引かれてて、両側を兵士がライフルもって何人も立ってるわけ、でこっちの飛行機の連中は民間だからさ、ライフルとか持ってる兵士とかをコワゴワ遠巻きに見ててさー。"やーなんか怖いねーー"なんて君のお父さんに話しかけようと見たらさあーー。なんと君のお父さん、スタスタ歩いていって、その赤じゅうたんの上を横切ったのよ。えっ---!!と思ったよ。そしたらたちまち、その兵士達がお父さん向けて集まって来て、全員ライフルを構えたのよ。やっーー血の気引いたよ。えっ!!--だよーー。。。。。
いやどうも 管理室に行くにはその道が一番早いって思ったみたいなんだけど、そりゃ向こうとしてもびっくりするわなー(笑) で、ライフル向けられたお父さん、その時どうしたと思う?」
どうしましたかねー?と言う自分に、その方は楽しそうに話を続けてくれた。
「君のお父さん、そのライフル向けてる兵士に向かってさ、
"俺に!! 銃を!! 向けるなっっ! ! ! !" って 顔を真っ赤にして怒鳴りまくったんだよっ !
すっごい剣幕だったよーー (笑) 。
いやーその時さ 、君のお父さんの事、この人ホントすげーな と思ったのよ。」
その後、民間機側のエージェントが相手に事情を話して事なきを得たそうだが、父はその日一日、その件で怒っていたそうだ。
「いやー君のお父さんの強気は筋金入りだよー。 ほんと凄い人だったよ。。」
自分はその話は聞くのは初めてだったが、自分が見聞きした似たような話は他にもよくあった。
そういう意味でスタンスの変わらない、ぶれない人(笑)だったんだなー。。。