このあいだ耳鼻咽喉科に何十年ぶりかで行ったが、その何十年前に行った耳鼻咽喉科の先生を思い出した。
確かウナギの骨が喉に引っかかったンだったと思う(ブルジョアだから)。
気にしないで何日か過ごしていたが一向に抜ける気配が無い、そのうち嚥下できないぐらいに痛むようになってしまった。膿んでるかも。。。コリャまずい。と近くの救急病院に行ってみた。
事情を話すとこの病院には耳鼻咽喉科は無いとの事で、近くの個人院(耳鼻咽喉科)を紹介してくれた。
紹介された医院はどうみてもただの一軒家。
確かに表には小さく××耳鼻咽喉科と表札が出ている。まっ迷っててもしょうがないので、玄関でチャイムを鳴らした。
暫く鳴らすと「ハーイッ」という声と共にドアが開いた。中から40台主婦らしき人がドア越しに顔を出しながら「ナンデスカ?」って表情を浮かべている。
中はどうみても普通の玄関、左が奥へ続く廊下、右には二階に上る階段が見える、典型的な一軒家の間取り。。。
「ええっとーー ここ耳鼻咽喉科ですか?」
「えっ?。。。そうですけど、、、 ああ患者さん。。。健康診断の診断書ですか?」
「いえッ、あのー 喉に骨が引っかかってーー。ここ紹介されました。」
「えっ?診療?」
一瞬表情を曇らせた主婦の人は「入ってください。」
と、玄関の直ぐ左側の診療室になっている部屋に自分を入れてくれた。
診療室は庭に面していて、外には所狭しと植木が並んでいる。
そこではかなりの高齢のおじいさんが、
ゆっーーくりっとした動作で植木をいじっていた。
先生はやっぱりあの人かなーー?。 うーんん、だったらーーちょっとなー。
そういう感じだ。
主婦の人はそれには構わず、そのおじいさんに声をかける
「先生、患者さんです。。。。先生、、先生!! 患者さんです。」
応えないおじいさん。
「先生!! 先生!!! 。。。 おじいちゃんッ!! おじいちゃんっ 患者さん!!」
「ほえっ?」
おじいさんがこちらを向く、手が震えていた。
やっぱりそうかーーー!!。
おじいさんは、庭いじりで汚れた手を庭の水道で洗いながら、直接診察室に入ってきた。やはりかなりの高齢だ。まだ爪の奥が黒い。
うーーんやだなーー。
おじいさんはユルユルと白衣を着ると、診察が始まった。
「健康診断の診断書ですか?」主婦の人と全く同じ事を聞かれたが、喉の骨の事を話すと、
おもむろにカンシに脱脂綿を巻いて、喉の奥を覗く。。「ああっ あれかな?」
そういいながら、カンシで喉の奥を引っかくように骨を取ろうとしてくれた。
ウゲ ゲホッ。。。喉に触るカンシにムセながらも我慢する。なかなか取れない。
「うんっ? 駄目かな? うーん駄目だねーー」そういいながらおじいさんはカンシを喉の奥に差し込む。
ウゲーッ ゴホッゴホッゴホッ!! ウー辛い。涙と鼻水だらけになりながら数分やってもらったが全く取れない。
そのうち喉に明確に違和感と、脱脂綿に血が付くようになってきた。
マズイなーー
このままでは悪化する事はあっても治る事は無さそうだ、
うんそうだ、ショウガナイ。。。
あっ! ああ! んんっうんっ! 、、 ああ先生!取れました!。
「えっ本当?」 ホントウ? って、、、、
いえじつは取れてませんがーー。先生、ありがとうございました!。
ほうほうの体でその場所を後にしたのだった。
次の日より悪化した喉のまま、知人から紹介された評判の耳鼻咽喉科に行き、特殊なカンシでものの一分で骨を取ってもらった。
おじいさん先生に悪い気持ちは全く持っていないのだが、、
あれから随分月日が経ったが、あの病院はまだあるのだろうか?ないだろうなーー。
(帰り際、40台主婦の人が「大丈夫でしたかっ?」って聞いたのを忘れてはいない。)