イメージ 1

北方ケンゾウの「檻」って単行本。 いつ買ったんだか記憶が無いが、ブックカバーがかかったままになっていたのを何気なく読み始めて、、、、、はーそのまま読みきってしまった。

二度ほど目に涙。

ハードボイルド王道のストーリー。待つ女に、小さな幸せを捨てて破滅に向かっていく主人公。硬骨な渋い脇役たち。そしてこだわりの小物を扱う時の細かい描写。
ちょうど書かれたのは1980年代初頭。 

この人のは実はあまり読んだことが無く、どっちかつーと外国ハーどボイルドの文法をなぞった、二番煎じ風の作品なぞと勝手に思って読まなかった自分がアホだった。

人間不信気味のフリーマントルとか、やたら明るいだけのジェフリーアーチャーとか、作品のいくつかは基本プロットが全く同じなRラドラムとかに傾倒してた時、早くよんどきゃ良かったな。
新宿ザメのオシャレな刑事物とか、真保祐一のプロットはやたら面白いがどうにもテレビ上がりの脚本家っぽい大団円気味のオチがつくやつとか読むんだったら、こっちの方がらしいわな。(でも両方とも好きですが)

ふと、船戸与一の新作をもうズイブン読んでいないことに気がつく。
というより、自分の行動範囲含め、仕事以外の人生の余白部分が依然とは比べられないほどに狭まっているというこの事実が、
破滅的な自由に向けて、だんだんと、やがて全力で駆け出していってしまった主人公に、大きく入れ込む大きな理由なんだろうなーーー。