
学生時代、添乗員のバイトで 御来光ツアーって奴で、お客さんをつれて富士山に登ったことがある。
なんだか良く判らないまま、4~50人のお客をつれて8合目の宿で半泊。
夜中の2時ぐらいから昇り始めて、早朝、ご来光を見てそのまま下山して、バスで帰ってしまう。
という強行ツアー。
自分は遠足気分で、スーツに靴だけ運動靴。
客も行く途中、バスのトイレ休憩で、「ああ疲れたっ」なんて言って帰ってくるおばあさんが多数いたりして、、、、
いまから考えると酷い話で、そんなのつれて、運動靴のスーツ男が富士山に登るんだから、途中脱落者が出ないわけない。
ツアーの1/3近くが途中リタイアするなんて事もあり、ご来光を見るときには、杖をついたツアー客同士が、励まし合いながらヨロヨロ山を登ってたり、自分が「もうダメデス」なんておばさんを背負っていたり、そんな遭難寸前で見るご来光は、それはもう神々しい、、
なんてもんでも無く「まあ良いんじゃないっ」って程度だった。
イヤー今から考えると安全対策の感覚が著しく欠けていた、と叩かれまくるだろうな。
そんなツアーに2回ほど参加していて、実はすっかり富士山をなめていた自分。
元々、高校の時に富士山頂上から自転車で滑走しようと企画して、その年に遭難騒ぎを起こし謹慎しているうちに、富士山への自転車入山禁止になってしまった。
バカな事を考える奴らはいるもので、頂上からブルドーザー道(山頂に資材を上げるための斜度30°以上の火山灰と軽石だらけの道、というか急斜面)を滑走して下山する途中、吹っ飛んで腕を折るやつ、崖から転落して重症の奴などが続発したのが原因だった。当時は自分ならうまくやるのに、なんて思って残念がった、、、
という、霊峰富士をなめている下地が自分にはあったんだろう。
それから随分たって、また友人と富士に登る計画が出た。
家で10人程度で飲んでいた時だ。
しかも行くのは、ただいま今日これから、いい加減酔ってますが、、、まあちょっと寝ればなんとかって訳で。
と「計画」というより「酔った勢い」な話で、数時間後の夜中、そのまま富士に向けて車で出発。
到着した時は、朝の三時ごろ程度か(てか夜中か)。五合目で車を捨てると、そのまま手持ちのザック。紙袋。コンビニ袋。をそれぞれ背負ったり持ったりで、富士山を登り始めた。
夏なんで朝は早い、ぼんやりとうす暗くなって来ていたが、五時ぐらいだったと思う。
異変は自分に起こった。
登っていてどうもさっきから変だ。
睡魔もあるが、自分がいまどこにいるのか、判らなくなってくる。そう夢の中を歩いているような感じ。
目を開けていても、夢の出来ごとが自分を包みこみ、だんだんと現実との区別がつかなくなる。そしてその場に倒れ込むように座って初めて、自分が倒れた事に気づくなんて感じ。平衡感覚が無いのだ。見かねた友人が自分の荷物を代わりに背負ってくれる。(こいつはワンゲル出身だ)
身軽になって少し楽になったが、他半数以上の人間が頭痛を訴える。一人は顔面蒼白。
吐いてる奴も一人いたと思う。
これ完全に高山病。 睡眠不足、飲酒、寒さ、その他色々と高山病になりやすい条件、もしくは禁忌を並べると、おそらく殆どの項目に自分たちは当てはまっていただろう。近年富士山での遭難が良く騒がれるが、山を舐めている、ハイキング感覚の観光客丸出しの自分たちなのであった。
で、結局どうしたか?
それから数時間後、、、、
富士山頂の神社前で、さっき吐いてたふらふらの友人を抱えながら、全員がカメラのフレームの中にニッコニコの表情で収まっていた。
根性は、時に無茶をも計画の内に収めるのであった。
あれから下山して、温泉入って、一杯飲んで車で帰ってきたのだから、
「若いっていいねっ」って奴だ。