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ロンジンの自動巻き時計 ル・グラン・クラッシック
旅行先のドイツで どうしても欲しくてショーウィンドーにへばり付いていた父を、母親も薦めて買わせたもんだそうだ。

はっきりいえば物は中級品だ。
ケースは大量生産っぽい形の金メッキケース。キャリバーETA28系の特に特徴はないムーブ。バンドも皮のオーソドックスなタイプ。

父は残念ながら目利きではない。

どちらかといえば趣味が良くない、ものの選び方も俗物的だ。
自分たちはそんな父の買い物を見ると、そのセンスの悪さにちょっと嫌な気もしていたぐらいだ。
ただ、それは、戦後日本を立ち上げた当時の人間としては当たり前のセンスだったかも知れない。


父が亡くなる一年前ほどに、たまたま自分の時計達に興味を持った父に、その中の一本ジュベニアの時計をあげた。

元を辿れば、このジュベニアの時計は父が50年近く前の当時、仲のよかった宝石商から買ったもので、使い方の荒い父が壊してしまったまま40年近く放っておいた物を、自分がレストアに出していたものだった。

いたく感動した父は、交換だと言ってこの時計をくれた。
「ドイツで高かったんだ。」ちょっと誇らしげに言う父に、
実は、このブランドが日本では 数万程度の安値で買えることは流石に言えなかった。

交換した形になったジュベニアの時計を、父は二三度はしていただろうか?
だけどそれはすぐ、シチズンの電波ソーラー時計に取って代わり、見ることもなくなってしまった。

一方もらったロンジンの時計も、そのあまりのオーソドックスさに、つける機会もあまり無く
自分の好みでも無い事からやはりケースの肥やしになっている。



今日、ケースのこの時計を見ながら、ふと父親のことを考えていた。
派手でも、特徴があったわけでも無いけど、精一杯がんばった人だったんかなーと。
そうしたら少し、この時計が好きになった。