
自転車で林道や峠を走り回っていた頃。
先輩数人と二泊で長野県の信州峠と付近の峠に走りに行った。
5人で行ったが初心者がいたので
日程や道程が楽なルートを取ったつもりだった。が、二日目には早くも連れてきた初心者が峠で落車し頭を強打。
朦朧としている彼に、医者の先輩が質問した
「お前自分の名前言えるか?」
「えっ? わかんないですっ!!」
「軽い脳震盪だが念のため近くの病院に運ぼう」
という話になる。
(脳震盪で一時的に記憶喪失っぽくなるってのを実際見たのは初めてだった)
通りがかりの地元の車に乗っけてもらい、そのまま麓まで先に行ってもらう。
自分たちは、その後空荷のジャリトラを捕まえ
荷台に彼の自転車や自分のと一緒に乗り込み麓まで連れて行ってもらった。
宿に待機している自分達だったが、同乗していった医者の友達から電話が入る。
「全く問題なし、既に意識もしっかりしている。が念のため今回はこれで帰った方がいいだろう。」
というわけで早速一人脱落してしまった。
夕方 明日以降中止にするか続行するかを話し合う。結果
「彼は無理だが、自分達はOKだからもちろん行こう」
となった。
思えばこの時帰っていればあまり大事にはならなかったかも知れない。
翌日四人で信州峠を上り始める。
昼前、峠到着。
調子はみないい。今回初心者向けでコースも簡単。
早い昼飯を食べるとみないっせいに峠を下り始めた。
結構なスピードで下りのコーナーを下る。
前のI先輩は飛ばす飛ばす。
いくつかのコーナー抜け、大きくカントの付いた急勾配の下りコーナーにつっこんで行った先輩。
ぎりぎりまで車体を傾け高速でコーナーに進入した先輩の、その傾けた車体側のクランクが、路面に触れてしまったその瞬間。
自転車が後輪から浮き上がり、前輪を支点にしてそのままもんどりうつように先輩は前方に放り出され、彼はそのまま顔から地面にたたき付けられた。
その場に居合わせた全員の時間が止まってしまった。