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その日の夜はしこたま新宿で飲んでいた。

バイクで来ていたので置いて帰るか、朝まで飲むか?
そんなつもりだったんだが、皆明日が予定があるということで1時には解散になってしまった。

うーん。。どうしよか?。バイク置いて帰るのもやだしー。うーん。よし乗って帰ろ
メットを被るとフルフェースの中に酒臭い息が充満する。
うーーっ。それだけで気持ち悪い。

バイザーを開け放して外気を入れながらバイクで走り始めたが、
明らかに蛇行運転している気がしてならない。
少なくとも地面はユラユラと揺れている。
「まっずいなー。酔ってるよ」
季節は冬、真夜中の空気は冷たくて、ほんとは酔いが醒めてもいいぐらいなのに
風が涼しくて気持ちいい。ぐらいの感じ。

うーんどうしようと思いながらも白金トンネルまで来た。ここを抜ければ家まではもうすぐ。
はあーよかったなんとかなったかなー。バイクでトンネルに入っていった。

白金トンネル
東京港区に在る長さ500m程度の一方通行で双方向
(ようはトンネルが上り下りで別)で片側二車線のトンネル。
地元以外だと心霊スポットとか言われているけど、
今まで何千回近く通ってるがそんなの見たことは無い。

真夜中とはいえ、トンネル内に車は多い。結構タクシーとかと併走する。
で大きなカーブを抜け、出口が見えてきたぞー。。。という所で
あっっ!!っ   
急ブレーキを掛けて、 バイクを止めた。
ライトを消しエンジンを切る。

トンネル出口がコーンで一車線絞られ、その先に赤灯が回っている
「検問中」
飲酒の取締りっ。

あっちゃーっっっ! まずい。これはまずい。
絶対捕まる。間違いなく 「酒気帯び」じゃなくて「飲酒運転」になる。
免許取消しは間違いない。やばい。
トンネル内途中で路肩にバイクを止め、またがったままで考えた。
後ろから次々に車が抜いていく。轟音がトンネル内にこだましている。

まず、、、、
自分でも十分酒臭い。間違いなく捕まる自信がある。
道は一方通行、反対車線に逃げることは出来ない。
今捕まると生活に困る。何が何でも捕まるわけにはいかない。
結論 「逃げるしかない。」

暫くトンネル先の検問所を見ていた。
幸い、向こうの検問所の方はこっちに気が付いてないらしい。
トンネルの照明で自分がオレンジ色に照らし出されている、ちょっと落ち着かない。
はやくなんとかせねば
んっ? 
ちょっと気が付いた事あった。
でも、、ホントにそれでいいのか? 
腕時計を見ながら確認する。
うんっ、間違いない。

実はこのトンネルは入り口に信号があった。 その信号が一回赤に変わるとトンネル内が、
30秒程だけだが車の流れが止まる。
「これに掛けるしかないでしょ。」

そう、その30秒間にトンネルを逆走して逃げることにした。
(考えた割には芸が無いが、、)

何回か車が切れる(ようは入り口の信号が変わっている)時間を確認する。
なかなか決心が付かない程、車の流れが多い。
数回目に車の流れが切れた時、
よし今だっ。
バイクのエンジンをかけ、ふかして気味で逆送しはじめた。
出来るだけ早く、とにかく早くトンネルを抜けたい。

あせっていたのか、なかなか出口に付かない(入り口か)。
ようやく出口まで後少しというところで、信号が変わったか、タクシーが続々とこちらに向かってきた。

構わずアクセルを開ける。
タクシーの運ちゃんが、ガラス越しに 「あっーー」って顔してるのが判る。
キュッなんてブレーキ踏んだり蛇行したりするタクシーもいる。
クラクションを鳴らし続けて走る。
しまった、バイクのライト点けんの忘れた。突っ込まれたらどうしよっ。。

思い続ける間もなく、トンネルを抜けることが出来た。
すぐに歩道にバイクを乗り上げ、エンジンを切り暗闇にバイクを紛らせる。
数分ほどそうしていたと思う。 誰も追ってこない。暗く静かな時間が過ぎていく。
ハアーーーッ 暫くしてからようやく深呼吸ができた。

それから、どう帰ったかはよく覚えていない。
(って白金トンネルを迂回して、裏道繋げながら帰ったはずだ。)
あれからもう随分年月が経つが、なんとかまだ免許は持っているので、
これからもこの免許は大事にしたいと思っている。
(今ももうあんな馬鹿なことはしていない。)