
真夜中のサンフランシスコに消えてしまった O出さん。 真夜中の空気は冷たく、人気も無い通り
巡回のパトカー以外はあまり車も通らない。通りの影は暗く 奥は良く見えない。
一つ一つの通り、路地の奥に行っては引き返して、ものかげ、ゴミ箱近くなんかを見るが、
やはりいない。。。
もしかすると、「万が一だがホテルに帰ってるかも」歩き回りながら、一度ホテルに行ってみようという事になった。
「この界隈はちょっと歩くとダウンタウンがある、もしそこに酔っ払って行ったとすると非常に危ない」A氏は真剣に青くなっている。(さっきまですっ裸で踊ってたのにー。)
ホテルのロビーは暗め、入り口ではガタイのいい守衛が立っている。
日本人見て無いか?「いや 誰も通っていないよ。」トドみたいな太ったアジア人だが、
「いや、誰一人ここを通っていないよ。」
ガーンっ ヤバイ。 コレハ ホントウニ ヤバイカモ。
もう一回探そう。再度ホテルの部屋に携帯をかける。やっぱり出ない。
さっきから散々掛けているが一度も出ない。部屋にいないよ。
もう一回、付近を歩き回る。 A氏は、心配だ心配だと 口に出して不安を訴えている。
何しろO出さん、英語は全くだめ。ひどく酔ってた上に土地勘も無い。機転が全く利かない人なんで、こっちも 「ヤバイナー 」と、かなり焦って来た。
街灯しか付いていない 白黒のコントラストの街を三十分程歩き回っただろうか?
もうその時は二人とも無言になっていた。でもやっぱりO出さんはいない。
と 歩いている前方に明るい光が見えてきた。 ドラッグストアのように明るい平屋の店。
真夜中やってるハンバーガーショップだ。 ぼんやりと見ると、ガラス越しに警官の集団がコーヒーを立ち飲みしながら談笑しているが見える。
(おお、なんてアメリカンな光景なんだ。)
「そうだっ、あの警官に聞こう、それでマズイようなら捜索してもらおう。」とA氏。
うん、そうですね と俺。
二人でハンバーガーショップに入っていった。もう モロ「アメリカン」っぽいハンバーガーショップ。
キャンディーカラーの店内で、アンミラの制服みたいなカッコのお姉さんが注文をとっている。
(アメリカンだー)
とりあえず、二人カウンターに座る。 目の前にメニューが置いてある。
メニューを広げる。 各種のハンバーガーが目に飛び込んでくる。ちょっと腹へったな。
「この当店のスペシャルハンバーグって何?」A氏は 店のオネーチャンに既に質問している。
A氏、何グラムだったら食べられます?。自分このスモールで良いなっ。
「おおっ! じゃあ自分は チーズをのせて これをトッピングに スープも貰おう」
そんな食べたら、お腹もたれますよ 。
「ハハハッ それもそうだな。で 飲み物いいのか?」
って、、 完全に O出さんの事を わすれている。。。。。。
(どういう心境なんだ?)
注文を一通り済ませてから、やれやれと休憩。今日は疲れましたねー、なんて話をしていた。
それから、 「ああ、ちょっと警官に聞いてくる」
と思い出したようにA氏が聞きに行き、そしてまたすぐに戻ってきた。
「いないってさー で、、、」と、 そこに 注文した料理が運ばれてきた。
「おおっ!、うまそうだな。 おいっ そっちも良いな少しくれっ!」
A氏のも 下さいよ。 あああ!、そんなにケチャップ掛けないでくださいよ、このままが好きなんですからー。
「けちけちすんなよっ」
なんか楽しい。
って、、 やっぱり 完全にO出さんの事を わすれていた。
(A氏と自分が どういう心境だったのか、もう思い出せない。)
喰い終わって、コーヒーをすすって、その後店を出る。
まっすぐホテルにもどった。
もうその時は、結局俺達のせいじゃねーしなー。 なんて気分だった。
さっきのとは違うガードマンに 念のためO出氏の事を聞くがやはり知らないという。
「フロントに行って、O出さんの部屋を確認しよう。それでだめなら捜索願い出そう」
A氏は冷静に言う。
そうっすね。あっさり了解の自分。
フロントと交渉して(ちょっと交渉は長引いたが)鍵を開けてもらいに、O出氏の部屋に向かう。
エレベータをおりO出氏の部屋の前に立つ。
「ドクンッ」
ちょっとキンチョウしている自分がいる。
部屋が空いた。
フロントは 先に入れと促す。
入った時、 なぜか 小走りに走りこんでいった。
まっすぐ「ベットルーム」に向かう。
右の部屋、ベットに目をやるっ!!
「あっっ!」
いたーっっ!! いたっ いました、A氏いましたよ 「O出さん」がーっ!!
O出氏は 白い上下のステテコ姿で、そのままベットの上に突っ伏していた。 全く起きない。
死体Aみたいな感じだが、グーグーと寝息がする。
「よかったー。」
どっと疲れが出る。 フロント係に礼とチップを渡すとA氏と俺は 部屋に戻ったのだった。
もう三時過ぎてたかなー。 そのまま寝てしまったので良く思い出せない。
しかし、あのハンバーガーショップでの「ちょっと幸せな心境」はいったい何だったんだろうか?
今でも不思議に思う思い出だ。