
他にもそりゃ 栄やスギノ諸々といったメーカもあったけど、総合自転車部品メーカというには役不足で、やはり シマノとサンツアーが世界的にも日本の代表格だったと思う。
(※ 栄、吉貝、杉野、三信は前田と連合を組んでいたそうだ)
それだけに、サンツアーが潰れたのには驚いた。
今自分の街乗り自転車(ランドナーあがり)のフラットハンドルには、サンツアーXCプロのブレーキレバーが付いている(これ当時 MTB用の最高級品)。
10年ほど前、自転車屋で「潰れちゃってさー、問屋から泣きつかれてしょうがないから置いてんだよねー」と言って、箱に突っ込まれ投売りしている部品を驚く程安く買ったのだ(確か 定価の1/3~1/4ぐらいだった)。
改めて最近このブレーキレバーをしげしげと眺めてみた。
非常に綺麗な造りで、仕上げもとてもいい。十年経ってもガタも無いし操作性も良い。良い事づくめなのに、このメーカは潰れた。
バブルだなんだといろいろと理由はあるとは思う。でも一番大きな理由の一つに、独創性が無かったという事は言えると思う。
サンツアーは小型、軽量を旗印にしていたメーカだったと思う。今 昔の話しを聞いていても精度が良かったという話は多い。
でも自転車をバイクまで昇華させていくという技術力には乏しかったんではないか。
愚直に丁寧に作るそれはそれで素晴らしい事だと自分たちは学校では習ったけれど、でも大量生産/販売して成り立つ工業製品である以上、付加価値をどこかに付けないと価格はどんどん落ちていく。そして他社の新機能/新製品にどんどんシェアを奪われていく。
その結果の倒産だったのかなーと思う。
この前後 日本、ヨーロッパの殆どの自転車部品メーカが潰れてしまった。強く握るとしなるブレーキ、抜差しを繰り返すとガバガバになってしまう軟いクランク、ベアリングではなく玉当たりを未だに使っている精度の低いハブ、、当時でも既に世の中の趨勢に合っていない在来メーカは悲しいくらいあっという間だった。(他業界に比べ自転車業界は古かったと思う。)
サンツアーの製品は 製品の精度は良かった。作りも丁寧で良かった。でも最も大切な付加価値をその二つだけにしてしまった為に、他社(もうそりゃシマノね)の攻勢に耐えられなかったんだろうなーと思う。
今手元にある、造りのよいサンツアーの製品を見ると、これが大量生産の工業製品ではなく、伝統工芸的な位置づけとして造られていたならば、きっと別の生き残り方も有ったんじゃないかな。と考えてしまった。(まっ そんな分野はこの当時の自転車界に無さそうだが、、)
贅肉の無い、華奢だがしっかりした造りの黒アルマイトのボディー、薄い金色アルマイトのレバー、全てが綺麗に面取りされていて、素材も良い物を使っていて、丁寧に造っているのが良く判る。アジャスト用の子ネジもバフがかかっていて光っている。
全てがしっくりまとまっていて、しっかりとした高級感を醸し出している。
大量生産の製品でこの造りは素晴らしいと思う。がそれ以上に、会社が倒産したとはいえ、これがキロ幾らに近いかたちで投売られているのを見て、驚きと、一歩踏み誤ると飲み込まれてしまう自由経済の怖さを実感している。
当時 「精度」と「造りを追い込む事」が会社を発展させる唯一の方法と信じて情熱を持って作り続けた方々の思いを考えると、ちょっと悲しく そして さびしくなる。
この部品は大事に使おう。今はそう思っています。