若かりし日のダウンタウンの漫才にクイズ形式のネタがあります。
まっちゃん(松本人志)が相方の浜ちゃん(浜田雅功)にクイズを出す漫才です。
「太郎さんが花屋に花を買いに行きました」
<ひと呼吸置いてから>
「さて、なんでしょう?」
しれっと、こんなこと↑を言うまっちゃんに対し、浜ちゃんが「どういうことやねん!!!」と激しいツッコみを入れます。
漫才のボケだから許されますが、もしも、大まじめにこんな質問をする人がいたら恐ろしいですよね……。
なぜ浜ちゃんが、「どういうことやねん!」とツッコみを入れたかというと、まっちゃんの言っている意味がわからないからです。
そりゃそうですよね。いきなり「さて、なんでしょう?」と言われても……意味不明です(笑)
意味不明な原因は、まっちゃんがクイズを出す際に「5W3H」を省略して伝えたからです。
この意味不明な伝え方を解消するためには、必要な「5W3H」を盛り込まなくてはいけません。
以下は「5W3H」です。
■When
(いつ・いつまでに/期限・期間・時期・日程・時間)
■Where
(どこで・どこへ・どこから/場所・行き先)
■Who
(誰が・誰に/主体者・対象者・担当・役割)
■What
(何を・何が・どんなこと&ものを/目的・目標・要件・物・課題)
■Why
(なぜ・どうして・なんのために/目的・理由・根拠・原因)
■How
(どのように・どうやって/方法・手段・手順・工程)
■How many
(どのくらい・どの程度/数量・規模)
■How much
(いくら/価格・費用・金額)
松っちゃんがきちんと、必要な「5W3H」の情報を盛り込んでいれば、少なくともクイズの質問としては成立したはずです。
◆「When」を盛り込む →「さて、いつ買ったでしょうか?」
◆「What」を盛り込む →「さて、何の花を買ったでしょうか?」
◆「Why」を盛り込む →「さて、なぜ買ったでしょうか?」
◆「How many」を盛り込む →「さて、どのくらいの量(大きさ)の花を買ったでしょうか?」
◆「How much」を盛り込む →「さて、いくら分、買ったでしょうか?」
こと文章を書く際に、必要な「5W3H」が抜け落ちてしまうと、致命傷になりかねません。
なぜなら、会話のときのように「どういうことやねん!」とツッコんでくれる人が目の前にいないからです。
つまり、書き手の知らないところで「この人、訳わからん……」と思われて、そのままスルーされてしまう恐れがあるのです。
スルーで済めばまだマシです。場合によっては、誤解やトラブルを招き、書き手の信用を著しく下げる恐れもあります。
とくに仕事で文章を書くときには「5W3H」のどの情報を盛り込むべきか、そのつど十分に検討する必要があります。
以下は「5W3H」が抜け落ちた文章を読んだときの読み手の反応です。
【反応例1】
このチラシに書かれている包丁が欲しいんだけど、値段がわからない。 → How much(値段)の抜け落ち
【反応例2】
人気店だというこのお店に行きたいんだけど、どこにあるのか場所がわからない。 → Where(お店のアクセス)の抜け落ち
【反応例3】
この仕事を引き受けようと思うんだけど、納期がいつなのかがわからない。 → When(納期/締切)の抜け落ち
【反応例4】
今日のコンサートが中止になったのは分かったんだけど、なぜ「延期」ではなく「中止」なのかがわからない。 → Why(理由)の抜け落ち
【反応例5】
食材と文量はわかったけんだけど、肝心の作り方がわからない。 → How(方法)の抜け落ち
これだけは断言しておきますが、「わからない」責任を読み手に押しつけている限り、文章力は上達しません。
伝わらないのは、読む人が理解しやすい書き方をしていないからです。「情報」だけでなく、読む人に対する「工夫」や「優しさ」も足りていません。
伝わらない責任は、100%書き手の側にある!
この前提を受け入れることが文章上達の第一歩です。
とりわけ「5W3H」は、伝わる文章を書くうえで欠かせない情報です。
その抜け落ちに注意しましょう。