世の中には、時代を超えて、国を超えて、長く読み継がれている本がある。

ビジネス・自己啓発分野であれば、『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著)、『人を動かす』(D・カーネギー著)、『論語と算盤』(渋沢栄一著)、『生き方』(稲盛和夫著)などがその代表例だ。

名著を人にオススメするときに使える常套句がある。それは――

「手当たり次第に本を100冊読むよりは、この本1冊を何度も読んだほうがいいよ

――だ。

 

なんとうキラーフレーズだろう。

 

これを言わせてしまう、名著たちのスゴみよ!!!

でも、そう断言させてしまうパワーが、不朽のベストセラー書籍たちにはあるのだ。

もし名著のエッセンスを、余すことなく自身の血肉にできている人がいるなら、その人は、人生において圧倒的な成果を出している。または、圧倒的な幸福を手に入れている。あるいは、その両方だろう。

なぜか?

 

それは、ひと言で言うなら、名著と呼ばれる書籍たちは物事の本質をズコ〜ンと射抜いているからだ。

 

私は、今、執筆している本の中で「本質は以下の3つの要素に分解できる」と紹介している。

 

以下に、それをシェアしよう。

 

①普遍的(時代や場所を超えて、変わらない特性や価値があるもの)

②汎用的(さまざまな用途に広く使えること)

③シンプル(ムダなところがなく簡素なさま)

 

前述の名著たちに書かれている内容も、もちろん、①〜③に該当する。つまりは「本質」だ。

普遍的汎用的シンプルなのだから、その1冊の内容を自分の血肉にできれば、一生涯、あらゆるジャンルで発揮・応用することができる、というわけだ。

 

正直、本質というのは、ある時期、ある局面で、ある条件でしか使えないスキルとはモノが違うのだ。

 

さあ、そんな中、新たな名著の誕生を予感させる1冊が世に放たれた。

 

 

 

作家で精神科医の樺沢紫苑先生と、感謝研究家の田代政貴さんの共著『感謝脳』(飛鳥新社)である。


メッセージは極めてシンプル。

感謝する人になろう!

感謝をすることで、仕事も人間関係も、そう人生全般が劇的にうまくいく!!

 

以上!!!

 

「感謝をする人になろう」と言われても、〈はっ、何の話?〉という人もいれば、〈そういうスピっぽい話はあまり好きではありません〉という人もいれば、〈ああ、道徳的なオハナシですよね?〉と規範グループへ押し込んでしまう人もいる。

でも、そういう人こそが、『感謝脳』の効果を最大限に受け取れる人だ。

もっと言えば、感謝によって、人生を大きく変えられる人だ。

なぜなら、感謝の捉え方や見え方が、その人たちと、本書のそれでは大きく異なるからだ。

本書が、凡百の書と一線を画しているのは、感謝がもたらす効果を科学的根拠(エビデンス)を惜しみなく示している点にある。

 

・感謝をすると睡眠の質が良くなる
・感謝をするとストレス・うつ・不安が軽減する

・感謝の度合が高い人ほど自己肯定感が高い
・感謝の介入によって自己肯定感を高めることができる
・感謝の気持ちは親子関係や家族の幸福を向上させる
・恋愛関係における感謝の気持ちは、「関係の維持」と「互いに支え合う関係性」を促す
・感謝の気持ちが強い人ほど、レジリエンスが高く学業成績も良い
・感謝は慢性的な痛みを軽減する

・感謝は血圧を下げストレス反応を低減し心臓病疾患者の生活の質を向上させる
・たった1週間の感謝日記で進行がん患者の苦しみ心理的苦痛が軽減される

・感謝をすることで自尊感情が高まる

・感謝をすることで死亡率が減り寿命が伸びる


スゴくないか?

これらにすべて科学的根拠(エビデンス)があるのだ。

本書を読み進めながら、感謝の偉大なパワーに感動を覚えると同時に、自分が知っていた(そして実践していた)感謝が「感謝のマネごとだったのでは?」という気持ちすら芽生えた。そして、実際、自分に見えていたのは感謝のほんの一部にすぎなかった……がく然(汗)。

 

先ほど、「本質」の要素のひとつに「シンプル」と書いたが、実は、シンプルなものほど奥が深い。本書を読んで、感謝の奥深さに気付かされた。水深5メートルくらいかと甘く見ていたら、マリアナ海溝レベルだった……。

本書では、感謝を

親切への感謝」

日常への感謝」

逆境への感謝」

に分けている。

自分がいったいどの感謝を実践できているのか、どの感謝を実践できていないのか、一つひとつを丁寧に見ていき、自身の“感謝現在地”を知るだけでも千金の価値がある。


そして、もうひとつ。

あなたが発している「ありがとう」は、本当に感謝なのだろうか?

その答えは、本書に書かれている。

 

自分の目でお確かめあれ。

すべての名著に通じるのは、そのシンプルさがゆえの奥深さ。

 

いずれも「言うは易く行うは難し」だ。

 

ただし、「感謝」に関しては、この書籍『感謝脳』の至れり尽くせりぶりによって、「行うは難しう」の壁まで超えさせてくれるのだ。

 

仮に、これまで感謝に意識が向いていなかった人であっても、その人の現在地から始められる行動や、感謝の取り組みが具体的に紹介されている。

 

そう、この本は、誰のことも見放さない誰のことも置き去りにしない

なかでもオススメなのは「感謝日記」だ。

 

 感謝日記の最大の良いところは、「相手がいらない」ことです。「誰かに感謝する」のではなく、自分と向き合い自分の中にある「感謝の念」を思い出して記録するだけです。

 1日家から1歩も出ずに、誰とでも会わなかったとしても、感謝日記は書けます。

 「今日も、3食ご飯が食べられたことに感謝」

 「今日1日、健康で快調に過ごせたことに感謝」

 「特にトラブルもなく、仕事が順調にこなせたことに感謝」

 平凡な1日の中にも、必ず「感謝する」出来事はあります。

 

『感謝脳』(208〜209ページ)より引用

 

いかがだろう? たったの3行。このレベルであれば、どんな人でもできるはず。だまされたと思って書き始めてみてほしい。

ありがたいことに、本書には、実際に感謝日記を書き続けている人たちの「感謝日記の例」も載っている。それを読むだけでも、ムクムク〜と書く気が湧いてくる。

というか、本書を読むだけで、感謝すべきことが自分にも山ほどあることに気づく。ページをめくる手を止めて、手元のノートや手帳に「感謝の気持ち」を書き始めたくなるのだ。

私自身、この10年でずいぶんと感謝の総量が増えたと自覚していたが(涙もろくなって困るのだが……)、おもしろいもので、感謝の総量と比例して「幸福感」も増えていった。この体験も、ひとりでも多くの方に味わってもらいたい。

 

「略奪」「拒絶」「否定」といった[争いの境地]では得られない「幸福感」が、[感謝の境地]では簡単に得られる。いえ、「得る」のではなく「ある」のだ、その境地には。

感謝は、人生を幸せに生きるうえでの「本質」そのものであり、感謝があなたを裏切ることはない。

 

信じるか信じないかは、あなた次第だ。

感謝の住人になることによって、あなたの人生が大きく変わることをお約束する。

最後にひと言。

「手当たり次第に本を100冊読むよりは、この本1冊を何度も読んだほうがいいよ

もし、あなたが、仕事、人間関係、健康、お金……など、人生において何かしらの問題を抱えているなら、ほかの99冊を捨ててでも読むべき1冊が『感謝脳』だ。

生涯、あなたの人生に、強く、そして、優しく寄り添ってくれるだろう。