発売即日で8,000部の増刷がかかった新刊『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』(日本実業出版社)。

 

 


最終的にカットすることになりましたが、当初用意していた原稿を紹介します(つまりはボツ原稿)。

「アイデアも要約である」という話です。

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アメリカの実業家ジェームスWヤングが書いたロングセラー本『アイデアのつくり方』に次のようなことが書かれています。

 

 〈アイデアとは既存の要素の新しい組合せ以外の何ものでもない〉

 

わたしは、これもまた要約の一形態だと考えています。


A、B、C……複数の情報を組み合わせることで新しいアイデアが生まれる。

この場合、「アイデアとは、AとBとCの要約の結果」なのです。
 

スティーブ・ジョブズが生み出したスマートフォンは、まさしく「携帯電話」と「インターネット」と「カメラ」の組み合わせ(=要約)によって生み出されたものでした。
 

回転寿司は、その昔、工場のベルトコンベアを見た寿司店オーナーが考えついた、といわれています。アイデアが生まれる前には必ず別の情報があるのです。

 

もちろん、情報があるだけでは、いいアイデアや発想は生まれません。


その情報の「特徴」や「本質」を押さえたうえで、それらが他ジャンルに転用可能かを見ていく必要があります。

 

たとえば、回転寿司ではなく回転ラーメン店だったらどうか? おそらくうまくいかなかったでしょう。


ベルトコンベアを飲食店に転用するためには、「提供する『食』のバリエーションが豊富」「多少冷めても問題ない」などの条件が必要だからです。ラーメンはどちらにも該当しません。


他ジャンルへの転用を検討するときは、こうした条件についても情報——「ベルトコンベア」と「飲食店」という双方——から抜き出していく必要があります。

 

情報を抜き出すための有効なアプローチが「質問をする」です。

「このベルトコンベアは○○に使えるかな?」という具合に、自分の脳に質問することで、脳が答えを求めて回転し始めます。よく「失敗は成功の母」といいますが、私に言わせれば「質問も成功の母」です。

 

多くの人がアイデアは天から降ってくるもの、と思い込んでいます。たしかに、アイデアが生まれた瞬間について、そう表現する人は少なくありません。

 

しかし、その前段として、彼らは、ふだんから情報と情報の組み合わせや、情報の解体・分解などを徹底して行っています。その結果、天から降ってくる(ように感じる)のです。

 

アイデア力を才能の有無で考えるのも間違いです。くどいようですが、アイデアは情報の組み合わせ(=情報の要約)であり、ひと握りの人に与えられた特別なものではありません。

情報をよく観察し、適切な質問をぶつけながら(そして、その答えを導き出しながら)要約していく習慣を身につけることで、誰でも手にすることができます。

「要約上手」は、「アイデア出し上手」なのです。

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