「自分の言葉」で文章を書くためには「切り口を工夫する」必要があります。

 

「切り口」とは「物事を見る視点」と言い換えてもいいでしょう。

 

たとえば、SNSに「発熱(熱が出る)」をテーマにした文章を書くとした場合、あなたなら、どんな切り口の記事を書きますか?

 

【記事A】

日ごろから熱だけは、出さないよう注意しています。熱が出ると、頭がふらついて、仕事に支障を来します。取り引き先はもちろん、同僚や家族にも迷惑をかけることになります。熱を出すのは、自己管理ができていない証拠。社会人として失格だと考えています。

 

【記事B】

わたしは熱が出ると、ひそかにガッツポーズをします。たしかに、熱が出ると体はツラいし、仕事にも支障を来します。周りの人に迷惑をかけてしまうこともあります。ですが、38℃以上の熱が出ると、がん細胞が死滅すると言われています! 熱を出すことで、がん細胞が死滅する(がんにならずに済む!)。こんなありがたい話はありません。つまり、人間にとって、熱が出ない体こそが、もっとも危険な状況なのです。高熱が出るのは、自分が健康な証拠。発熱バンザイ!!! というわけで、高熱が出たら喜びましょう。あなたの身体に「熱を出してくれて、ありがとう」と感謝しましょう。

 

 

あなたが興味を引かれたのは、記事Bのほうではないでしょうか。

 

「発熱」は、多くの人にとってネガティブなイメージです。そういう意味で、記事Aは極めて常識的。悪くいえば「誰にでも書けそうな、ありがちな記事」です。そこには、目新しさも、驚きも、おもしろさもありません。もちろん、「自分の言葉」も光りません。ごく平凡な記事です。

 

一方、記事Bでは「ガッツポーズ」という言葉に表れているように、「発熱」をポジティブな現象としてとらえています。目新しく、驚きがあり、興味深い。常識を覆す痛快さがあります。これが切り口のパワーです。物事をとらえる視点が特異であればあるほど、書き手自身のオリジナリティ、つまり、「自分の言葉」になりやすくなります。

 

あなたがその文章を書くとき、その文章の切り口にオリジナリティはありますか? 常識的な切り口や平凡な切り口ではなく、読む人が驚くような切り口を探してみてはいかがでしょう。