ピンク社長こと多田多延子さん原作の漫画『キセキのヒロシマ』を読みました。

 

多田さんは、広島を拠点に活動し、ヒロシマから全世界へ「希望と平和」のメッセージを発信し続けている一般社団法人ピースピースプロジェクトの代表理事です。
      
原爆を題材にした書物や漫画には、「絶望」と「憎しみ」が充満した重たいものが少なくありません。
      
しかし、この漫画を包む空気は少し違います。原爆が落ちた直後から、希望をもって、強く明るく復興を目指した広島の人たちの姿が描かれています。未来のために——、幸せのために——、前向きに生きるその姿に胸を打たれました。
      
漫画のなかで多田さん(5歳の)と曾祖母がこんなやり取りをします。
      
多田さん:「ひいおばあちゃん、あめりか人って悪い人?」
      
曾祖母:「ううん。アメリカ人は悪い人たちじゃありませんよ」
      
多田さん:「ゲンバクやったのに? どうして?」
      
曾祖母:「そうねえ……。憎んでも仕方ないでしょ? 済んだことだから。『辛いことを嘆く人生ではなく、有り難いことに感謝する人生』のほうが幸せなのよ」
      
この漫画のテーマは「許し」です。
      
憎しみを引きずりながら生きるのではなく、明るく前向きに生きることを選択する大切さを、広島の人たちが教えてくれます。そのベースにあるものは、やはり「許し」なのです。
      
多田さんが、この漫画を作られたのも、きっと憎まずに生きることを選択した曾祖母様やお母様の“想い”を世の中に広めたい、という一心なのでしょう。
      
多田さんは、あとがきにこう書いています。「広島は悲しい思い出だけの都市ではありません。がれきの中から見事に復興を遂げた、希望あふれる『復興都市』です。……壊滅的な状況の中でも、前を向いて希望を持ち続けることで困難を乗り越え復興した歴史的な事実と、憎しみではなく、慈しみ、敬いあえることを祈り、平和の大切さをテーマに制作しました」と。
      
平和を考えるときに、つい切り捨てがちな「見方」に気づかせてもらいました。
      
実は、昨年(2017年)、本書の英語版を読んだオバマ大統領(当時)から多田さんに手紙が届いたそうです(スゴくないですか?)。


      
「親愛なる多延子さん。……あなたの物語に感動しました。私たちには、歴史を直視し、不幸を繰り返さないために何をすべきか自問する責任があります。……より多くの人が過去を理解し、思いやりをもつなら、より平和な未来が待ち受けていると確信しています」とオバマ大統領。
      
ひとりの女性が自費出版した本が、海を渡って、アメリカ大統領の心を動かしたのです。もちろん、その心を動かしたのは、多田さんの“想い”であり、苦しい被爆体験を乗り越えて、明るく前向きに歩き続けた広島の人たちの“気持ち”にほかなりません。
      
多田多延子さん原作『キセキのヒロシマ』。現在、学校向けに1,000冊無料貸出しを行っています。
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