文章を書いて、自分の人柄を伝えたいなら、人と違う「感覚」や「感性」を隠そうとしていてはいけません。
 
他者との違いは、個性にほかなりません。「さらす覚悟」が必要です。
 
——と、そんなテーマで、この文章を書き始めたところ……カフェの隣りの席にいた女子高校生2人の会話が耳に入ってきました。
 
<会話ココから>
 
女子A「この前『ビリギャル』のDVDを観たときに、気づいたことがあるの」
 
女子B「えっ、どんなこと?」
 
女子A「わたし、音を聞くと、触りたくなるの」
 
女子B「え? なに言ってんの?」
 
女子A「たとえば、『ビリギャル』を観てるときに、紙が擦れる音が聞こえてきて……めちゃめちゃルーズリーフに触りたくなったの」
 
女子B「なにそれ? おかしくない?」
 
女子A「でもそうなの。辞書をパタンと閉じる音を聞いたときも、むしょうに辞書が触りたくなったの」
 
女子B「それは、映像のせいじゃなくて?」
 
女子A「映像じゃないの。音を聞くと、触りたくなるの。昔からそうなの。そういうのない?」
 
女子B「ない。それ、超やばいよ。おかしい」
 
女子A「だよねー。私も変だなあ、と思ってたんだけど……」
 
<会話ココまで>
 
話の内容がおもしろくて(絶妙なやり取りを含めて)、思わず笑いそうになりました。
 
それにしても、「音を聞くと、触りたくなる」という特徴(感性)は、魅力的だなあ、と思いました。
 
全然「やばく」ありません(笑)
 
日本人は、横並び思考が強いせいか、人と違う点を隠すきらいがあります。
 
恥ずかしい。
  
笑われるかもしれない。
 
おかしな人と思われるかもしれない。
 
そういう気持ちが強すぎると、自制心が働いて「さらす」のをやめてしまうのです。
 
しかし、もしも「自分という人間をちゃんと知ってもらいたい」という気持ちがあるなら、人と違う点は、むしろ武器にしなくては。
 
「音が聞こえると、触りたくなる」という「感覚」などは、強力な武器ではないでしょうか。素晴らしい感性だと思います。
 
というか、おいしすぎるでしょ、それ!!!
 
その唯一無二の「感性」や「感覚」を文章にすれば、周囲に興味をもたれやすくなりますし、結果的に、人柄や人間味も伝わります。
 
仮に、わたしが彼女の立場だったら、以下のような書き出しで作文を書くだろうなあ。
  
<音が聞こえると、触りたくなる。友達からは気持ち悪がられるが、本当のことなのだから仕方がない。文句あっか。>
 
人と違う「感性」や「感覚」は宝物です。
 
大事にしましょう。


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