理由が書かれていない文章は、説得力に欠ける文章です。
 
「風が吹けば桶屋(箱屋)が儲かる」
 
このことわざの意味をご存知の方は多いでしょう。
 
あるひとつの事象が一見するとまったく無関係な場所や物事に影響を与えることがある、という意味です。
 
このことわざの意味を知らない人が、「風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉から、ことわざの意味を理解するのは、ほぼ不可能でしょう。
 
なぜなら、風が吹くと、桶屋が儲かる理由がまったく書かれていないからです。
 
風が吹けば桶屋が儲かる理由は、以下の通りです(諸説あるようですが)。
 
1:風が吹き、ホコリが立つ
2:ホコリが眼に入る
3:眼を病んで視力を失う人が増える
4:視力を失った人が芸事で生計を立てる
5:芸事をするために三味線を買う
6:三味線に使う猫皮が必要になるため、
  猫が殺される
7:猫の捕食であるネズミが増える
8:ネズミは桶をかじる
9:桶の需要が増える
10:だから、桶屋が儲かる
 
このような理由が添えられて、はじめて、ことわざの意味を知ることができるのです。
 
つまり、私たちが、文章や会話で何かしらの結論(メッセージ)を伝えるときには、必ず理由をセットにしなければ「伝わらない」のです。
 
結論は理由と一緒に伝える!
 
文章を書くとき(話をするとき)に大切にしなければいけない意識です。
 
もっとも、「風が吹けば桶屋が儲かる」は「こじつけ」や「論理の飛躍」の例として取り上げられることも少なくありません。
 
たしかに「ホコリが眼に入る→眼が病んで視力を失う人が増える」だけを抜き出しても、こじつけ感満点です(笑)。というか……全編に渡って、ほぼ「こじつけ」で成り立っています。
 
言うまでもありませんが——いくら結論と理由をセットに伝えても、その理由が「こじつけ」の場合、あるいは「こじつけっぽい」場合、読む人を納得させるのは難しくなります。



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