「文章は書けば書くほど、うまくなります!」
 
「文章は書き続けなければ、絶対にうまくならなりません!」
 
「文章がうまくなりたいなら、とにかく書き続けるしかない!」
 
よく耳にする言葉ですが、実際のところは、どうなのでしょうか。
 
書いた量と上達度合が必ず比例するかといえば、答えはノーでしょう。
 
ゴルフで考えてみましょう。
 
いつもボールがスライスするAさんがいたとします。
 
ベテランプレイヤーたちが「ゴルフクラブが開きすぎ!」とスライスの原因を突き止めたとします。
 
しかし、誰ひとりとして、そのことをAさんに指摘しなかった場合、どうなるでしょうか?
 
おそらく、Aさんは、数カ月後も、いや、もしかすると数年後も、以前と同じように、クラブを開いたスイングをして、ボールをスライスさせているでしょう。
 
自分の悪いクセ(弱点)は、自分ではなかなか見抜けません。
 
Aさんに「クラブが開くクセ」の自覚がなければ、自分ひとりでスライスの原因を突き詰めるのは、なおのこと難しいでしょう。
 
それどころか、悪いクセのままボールを打ち続ければ、フォームをより崩す恐れもあります。
 
つまり、ボールを打てば打つほどゴルフが下手になっていくのです。
 
考えられない話ではありません。
 
文章の書き方も、ゴルフの打ち方と同じです。
 
自分の悪いクセを自覚していなければ、どれだけたくさんの量を書いても、飛躍的な上達は望めません。
 
しかも、文章の書き方の場合、第三者から悪いクセを指摘してもらえる確率は、ゴルフよりも何倍、いえ、何十倍も低いはずです。
 
「あなたの文章は、○○が変ですよ」とは、なかなか言えないものですから。
 
まずは自分で「文章の書き方本」を読むなどして、ある程度の基本を身につけたうえで、たくさんの量を書く。これが正しい文章上達法でしょう。
 
基本を身につけた状態でくり出されるクセは、その人の「らしさ」や「魅力」と呼ばれるものです。
 
そうした「らしさ」や「魅力」は、基本が抜け落ちた「悪いクセ」とは“似て非なるもの”です。
 
もちろん、自分の悪いクセを指摘してくれる人がいるなら、どんどん指摘してもらいましょう。
 
自分の悪いクセに気づくことが、文章力強化の第一歩です。


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