「~にくい」と「~づらい」。

どっちを使えばいいんだろう……と悩んだことはありませんか?

たとえば、「歩きにくい」と「歩記づらい」など。
 
「~にくい」は「難い(にくい)」です。

つまり「~するのが難しい」という意味。「物理的、客観的な障害がある」と考えられます。
 
一方、「~づらい」は「辛い(つらい)」です。

つまり「~するのが辛い」という意味。「心理的、主観的な障害がある」と考えられます。
 
泥道で歩くのが困難なときは「歩きにくい」で、靴がぶかぶかなときは「歩きづらい」を使います。
 
「固まる」「腐る」などは、主観や心理が絡まないので、「固まりにくい」「腐りにくい」と書くのが妥当です。
 
では「お願いしにくい」と「お願いしづらい」はどうでしょう。
 
これまでの原則を踏襲すると、相手がイライラしていて雰囲気的に頼めなさそうな場合は「お願いしにくい」となり、自分の心に問題(例:遠慮がち等)がある場合は、「お願いしづらい」ということになります。
 
もっとも、「お願いできない」というケースでは、障害の対象が相手にあるのか自分にあるのか、明確に分けられないケースもあります。
 
だから、どっちを使えばいいの? と迷ってしまうのです。
 
まずは、語源に根ざした原則「難い(にくい)」と「辛い(つらい)」を当てはめてみて、違和感を覚えるようであれば、「にくい」と「つらい」を入れ替えてみる、あるいは、表現自体を変える、という方法がスマートでしょう。
 
ちなみに、「辛い=つらい」ですので、「ずらい」と書くのは誤りです。「づらい」と書きましょう。


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