「受け売り」の文章というのは、往々にして読者の心に響かないものです。

「受け売り」というのは、問屋の転売と同じです。

誰かが言っていた(書いていた)ことを、そのまま自分の意見として書くことです。

もともと自分の意見ではないので、どこか表層的で他人行儀な話になりがちです。

真実味に欠けることも少なくありません。


「受け売り」のすべてが悪いとは言いません。

とくに「受け」は、イコール「インプット」ですので、むしろ歓迎すべきでしょう。

ただし、「受け」たものを、そのまま「売る」。

これがよくないのです。


では、「受け売り」を回避するには、どうすればいいのでしょうか?

いちばんいいのは、「売る」前に「自分のフィルターを通す」ことです。

自分のフィルターを通す」とは少々抽象的な表現ですが、簡単にいえば「書き手自身の体験」を加える、ということです。


たとえば、どこかのサイトに次のような情報が載っていたとします。

果物に含まれる酵素には、あとから体に入ってくる食べ物の消化・吸収を助ける働きがあるため、果物は食前に食べたほうがいいでしょう。

へえーそうなのかあ、と思ったあなたが、仮に「果物は食前に食べるのがいいのよー」と受け売りの文章を書いた場合、その文章を読んだ人たちの反応は、思いのほか薄いでしょう。

なぜなら、そこに書き手の「思い」が投影されていないことを、敏感に感じ取るからです。


そこで心がけたいのが、「売る」前に「自分のフィルターを通す」という作業です。

たとえば、次のような文章であればどうでしょうか。

果物に含まれる酵素には、あとから体に入ってくる食べ物の消化・吸収を助ける働きがあるため、果物は食前に食べたほうがいいそうです。

試しに私も1週間ほど実践してみました。

それまで食後に食べていた果物を食前に食べるようにしたのです。

その結果、毎日のように悩まされていた胃もたれがなくなり、便秘も解消されました。

酵素のパワーに脱帽です!



いかがでしょう?

書き手自身の体験」が盛り込まれたことによって、情報が「受け売り」ではなく、オリジナルのものになりました。

読者の受け取り方も、前者とは比較にならないほど好意的になるでしょう。

文章において「書き手自身の体験」ほど大きな武器はありません。

書き手自身の体験」とは、取りも直さずその人の「思い」なのです。