私の母は、とても強い人でした。

子どもの私から見て、
母はいつも強く見えました。

「女は経済的に自立していないと、
自由でいられないのよ」

それが母の口癖でした。

その言葉通り、
経済的に自立した女であるために、
母はよく働きました。

朝は、夜が明ける前に起きて自分の仕事をし、

家族が起きてくる頃に
朝食や子どものお弁当を作り、

私たちとほぼ同じ時刻に家を出て仕事へ行き、

夜は私たちよりも遅く帰宅し、
夕食を作り、
夜遅くまで家事をしていました。

母はいつも忙しそうで、
「お母さんが働き過ぎて
死んでしまったらどうしよう?」
なんてことを、
子ども心に思った記憶があります。

父も働いていたので、
家が貧しかったわけではありません。

それでも母は、
自分で働いて収入を得る、
ということをとても大事にしていました。

その上、母は、
何でも一人で出来る女性で、

普通なら男性である父に
お願いしたほうがよさそうなことも

父より素早く上手に
対応できてしまう人でした。

かっこよくて、たくましくて
だけど、とてもかわいらしいところもあるし、
お茶目だし、

彼女は、私にとって自慢の母でした。


そんな母が、

数年前、
60歳にもならないうちに、

認知症になりました。


あんなにしっかりしていて、
あんなに頭の良かった人が、

こんなに若くして、
記憶を失い、体の機能を失い、
みるみるうちに子どものようになっていく…

とてもとても信じられませんでした。

家族が母の病気に気づいた時、
母はもういろんなものを失っていました。

私は、たくさんの後悔をしました。

昔の私は自分のことに精いっぱいで、
「こんな人生なら生まれてきたくなかった」
そんな言葉を母に向かって
吐いてしまったことがありました。

その言葉を撤回するチャンスを作れないまま、
母が私を娘と認識できているのかどうかさえ、
わからない状態になってしまいました。

悲しくて悲しくて、
私はもうただただ悲しくて

なぜ母にこんなひどい仕打ちをするのかと
神様を恨みました。

ずっとずっと誰よりも働き続け、
がんばってきた母に
なぜこんな不幸がやってくるのかと
神様を恨みました。


でも…

今は少し気持ちが変わりました。


もしかしたら、
母は今、

人生の中で
いちばん安心のできる
幸せな時間を過ごしているのかもしれない

…と、ときどき思います。

食事をすることも
洋服を着替えることも
もう一人ではできなくなってしまった母を、
今は父が手伝っています。

父に食事を口に運んでもらいながら、
洋服を着替えさせてもらいながら、
母はいつもとってもニコニコしています。

父の言葉にいちいち「はい」とだけ返事をして、
あとはずっとニコニコしています。

父が母を車椅子から
立ち上がらせようとしている時、

2人がハグをしているような状態になります。

それを見て、ふと思ったこと。

母は病気になって、
やっと父に負けることができたのかもしれない。

生まれてから手に入れてきたもの、
そのほとんどを失う代わりに

やっと父に“甘える”
ということができたのかもしれない。

たくさんのものを失った母は、
今、とても不自由です。

お金を稼ぐことはもちろん、
自分の意思で話をすることも、
自分の力で食事をすることも、
トイレに行くことも一人ではできません。

でも、

なぜか私には
そんな母が幸せそうに見えるんです。

思い通りに動けない母に、
「大変だ大変だ」とイラつきながらも
決して母を手放そうとしない父も、
なぜかとても幸せそうに見えるのです。

そして、なぜか私もまた、
そんな母を見て、
とても愛おしく感じるのです。


お母さん、

もうお父さんにいっぱい甘えていんだよ。

もう一人でがんばらなくていいんだよ。


お母さん、

お父さんに大事にしてもらえてよかったね。


お母さんは、

何にもできなくても、
いるだけで、

家族を、
私を、
あったかい気持ちにしてくれる。


お母さん、

あなたはやっぱり
今でも私の自慢のお母さんです。



おわりうさぎ



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