本の紹介
「能力主義」からなる現代の、選び、選ばれる社会に生きる私たち。
そもそも「能力主義」がいかにして私たちに根付いたのか。
「能力主義」であることが仕事に、人生に与える弊害とはなにか。
「能力主義」を少しでも捨てられれば、新しい世界が見えてくるかもしれません。
脱・「能力主義」の実践的な方法まで言及されています。
働くことが辛いと感じているすべての人に是非読んでほしい一冊です。
選んだ理由
突然ですが、私は働くのが大嫌いでして(笑)
正社員ではなく派遣社員として、週4日働く生活をしています。
正社員に比べて勤務時間、業務負担が少なく、精神と体力が安定した日々を送っています。
ですが、ふと不安になることがあります。
今は女も働く時代。働くことがこの社会での正義とされていますよね。
週5日働く正社員。それが「普通」だと、世論は言います。
私は、週4日勤務して、多くはないですがもらったお給料で生きていけているので必死に正社員になる必要はないと思っています。
思っているけど、世論が気になることってありますよね。
そんな私は常に、人間が働く意義を知りたいと思っていました。
辛い思いをしてまで正社員で週5日働くべき理由は何なのか、正当な理由があれば教えてほしいと思っていました。
そんなところに本屋さんで目に留まったのがこの本です。
「働くということ」
働くっていったいどういうことなんだよー!誰か私の疑問を解くヒントをくれよ!
読めばなにかわかるかもしれない!そう思って手に取りました。
学び
一番感動したのが、「能力主義」というものが国によって作り上げられていた根拠を提示してくれた点です。
平成11年2月26日の経済戦略会議答申は以下のURL先の上部
□引用「21世紀の日本経済~セーフティ・ネットが必要だと考える」
tanemura.la.coocan.jp/re3_index/2K/ke_keizaisenryaku_kaigi.html
(元リンクがたどれなかったため、種村剛さんという方のHPリンクを張らせていただきます。)
要は日本が豊かになるために個々人の自助努力が必要であり、皆で能力を身につけ活かしていこうということです。(良く言えば)
悪く言えば、国民は自己責任、自助努力による能力UPを図らなければならず(義務)、モラルハザード(怠ける行為)が蔓延らないようにしないといけないいよね。
と言っています。
こんな国の方針だから、明確化されていない、測定不能な「能力」の獲得がゴールだとさせられ、義務教育時点から、もっと勉強を、もっと上をと言われ。
そして社会に出ても、もっと自己研鑽、もっとお給料を!と、私たちは途方もない不足感からひたすらに”頑張る”ように仕向けられていたのです。
正社員時代、どうしてこんなに頑張って働かないといけないのか、週5日も働くの?残業もあって遅くなるのに、仕事以外の時間でも仕事の勉強をしないといけないの?休みの日も仕事から離れた気がしない。
そんな疑問を持ったこの社会のすべては国の方針、義務教育からの洗脳。
そうおもったら心が軽くなりました。
感想
「能力主義」について、自身では言語化できなかったことも含めて書かれていましした。とても腑に落ちました。
「能力主義」をベースにしたこの社会において、多くの人にとっては働くということは選ばれること。選ばれるためには能力が必要という点で切っても切り離せない関係でした。私もその一人でした。
働くことに関しては、筆者の展望が書かれていました。
学業や就活などでは能力が主に重視されますが、実際に働くとなると、能力は個人の特性の一つでしかありません。そんなに重視しなくてもうまくやっていけばいいんじゃない?という提案でした。
ここは組織開発の専門家である筆者の仕事内容といったところでしょうか。
働くということはなにか。という当初の私の問いに対する明確な答えではありませんでしたが、、
そこまで気張って無理して自己研鑽しなくてもいいんじゃない?
と受け取りました。
自分が学びたい、やりたいことで、組織の役に立つ。それが双方の幸せにつながるとこの本を解釈しました。
まとめ
働くのは嫌ですね。でも、以前よりは嫌じゃなくなったんです。
それは正社員を辞めることで、やらされている感があって嫌だった業務や勉強が、本当は自分が好きだったことに気づいたからですね。
義務教育からいい子でいよう、期待に応えようと育ってしまったので、もっともっとと自分を責めていたのかもしれません。
「能力主義」である社会を全否定する気はありません。
ですが、「能力主義」に囚われて、もっともっとと自分を責めたり、人に押し付けたりするのは完全に洗脳されてしまっていて、よくない状況だと思います。
もっと気楽に働いてもいいのだと思います。
その視点を変えるという意味で、この本は読む価値のある一冊だと感じました。
本のタイトルと、中身の導入が若干のずれがあるように思います。
そのためこの本の良さが伝わりにくいかもしれませんが
とにかく、仕事だけでなく人生において息苦しさを感じている人に読んでもらいたいです。
ここまで読んでいただきありがとうございました!