戦後、フルベッキ写真を日本国民が目にしたのは1957年に出版された石黒敬七著の『写された幕末』が最初であろう。
解説には明治大革命を仕掛けた集団などとは一切書かれていない。
話題が盛り上がったのは2002年、中丸 薫 が書いた『真実の灯を消してはならない』が発端であり、当時、こんなタブーに触れても大丈夫なのか? と心配する程の内容であり、世界がいよいよ動き始めたのかと予感した。
写真に関する論争の焦点は撮影年と中央の若侍が誰なのかの二点に絞られていて、結論次第では宮内庁がパニックに陥るからと思われている。
幕末、普及し始めた写真技術を用いた大事業の記録の中に、革命派の若者たち(後の明治の元勲たち)の自分の足跡を残したくなる心理は理解できるが、後世、褒められこそすれ、知られては困る立場に追い込まれようとは夢にも思わなかったに違いない。
続く