メキシコの団体よりWMCインターナショナルライト級初代王者に認定されたZIPANGUが、王座防衛に成功。
先日に引き続き、3・10、ファイト・オブ・ザ・リング(以下、FOTR)王子大会の前半戦(セミファイナル以前)の詳細レポートをお届けします。
第5試合はZIPANGUが326の挑戦を受けたWMCインターナショナルライト級選手権。
実は、両雄は4年前、FOTRのマットでインターナショナルマーシャルアーツ選手権を賭けて闘って、その時の約束があった。
当時、ZIPANGUは靭帯を二本断裂していて、とても試合が出来る状態ではなかったが、ものともせず326と闘った。
武士の情けでZIPANGUの足を攻撃しない326であったが、最後はZIPANGUが執念の勝利を収めた。
ベストコンディションの再戦を約束した両雄であったが、その後、ZIPANGUは、しばらくFOTRのリングを離れることとなった。
4年の時を経て、舞台を西調布から王子に移し、あの時の約束が今回、実現の運びとなった。
颯爽と登場のZIPANGUは、コーナーより王子の館内を見渡した。
試合前の記念撮影。ベルトには、メキシコ、日本に加え、アメリカ、カナダの国旗も。
昨年暮れにFOTRマットに復帰してから、第3戦目のZIPANGU。前回の2試合はヘビー級コンビのタッグマッチということもあり、ZIPANGU本来の魅力が伝わり辛いマッチメイクであったが、今回は、ZIPANGUの本領発揮にはうってつけの相手。更に、タイトルも賭けられたとなると、期待が大きく膨らんだ。
ZIPANGUの醍醐味は、何と言っても空中殺法であるが、FOTRタイトルマッチ・ルールでは、トップロープからの攻撃は反則。この日、ZIPANGUはマットから、およびセカンドロープからの飛び技を多用。王子の会場自体が、天井に障害物も多くトップから飛びずらい造りになっており、さほど気にならないどころか、寧ろ、いつもより多く飛び、動き回った印象だ。
ZIPANGUと言えば空中殺法だけに目が行きがちだが「打・投・極・飛」の四拍子を揃ったプロレスラーに拘りを持つ。326の左腕をハンマーに固めながら魔神風車固めで投げる。
ZIPANGUのシャイニング・ウィザードが炸裂。
コーナーから飛ぶZIPANGUを、下から326がミドルキックで迎撃。
試合終盤は、お互いに男のプライドを賭けた打撃戦となった。4年前の闘いでは、負傷したZIPANGUに情けをかけた326であったが、この日は互いに一歩も引かず。この流れは、打撃専門の326に有利な展開だが、ZIPANGUも魂のファイトで立ち向かう。
ハイキックの同士打ちで、互いにダウン。ZIPANGUが先に起き上がり、この後、コーナー・セカンドロープよりジパング・ブレイドで勝利した。
「今回はメチャクチャ悔しい!」326は叫んだ。
4年前の闘いは、結果は負けでも、試合が出来る状況でなかったZIPANGUに情をかけての敗戦であったが、今回は得意の打撃で思い切りやり合った上での負けであったので悔しさもひとしおである。
悔しさと共にベルトへの欲示し再戦をアピールした326は、ZIPANGUに張り手をぶちかました。
326の張り手に対するZIPANGUの答えがコレ。FOTRタイトルマッチルールにより見せられなかったトップロープからのムーンサルトを、試合後に爆発させた。
「ZIPANGUがやりたかったのはコレなんです」羽鳥リングアナも解説。トップからムーンサルトを飛べる唯一のコーナーである事は、前回、前々回のFOTR王子大会で検証済みであった。
再戦では、試合中にムーンサルトを出したいところであるが、会場、ルール等が鍵を握ってくるであろう。
<第5試合 WMCインターナショナルライト級選手権61分1本勝負>
〇ZIPANGU(王者)
8分20秒、ジパング・ブレイド⇒エビ固め
●326(挑戦者)
※ZIPANGUがタイトル初防衛に成功。
一見すると、ジェイソン・ ザ ・ゴルドーは単なる怪奇派のヒール・レスラーだが、実は、格闘技のスキルも非常に高いものを持っていた。
ゴルドーのラリアットが炸裂!表情が見えないだけに、淡々と仕事をこなしている感じだが、かえって不気味である。
フィニッシとなったジェイソンのネック・クランク。吉田の首がひん曲がる。
<第4試合 30分1本勝負>
〇ジェイソン・ ザ ・ゴルドー
4分39秒、ネック・クランク
●ZIMA吉田
FOTRでタッグの絶対王者として長期政権を築き上げていた加藤&千葉のコンビも、ヒートシーカーズに王座を奪われ、更には加藤が、田馬場にUSヘビー級を奪われ、逆風が吹く中、唐突に行われた加藤 vs. 千葉のマッチメイク。何故?このタイミングでと思われたが、その答えは試合が始まり、直ぐに明らかになった。
「レスラーは闘いの中で、対話している」
羽鳥リングアナが、この試合を見事に実況解説していた。
入場するや否や、コスチューム姿の加藤に先制攻撃を仕掛け、場外乱闘に導きガンガン攻撃する千葉。
「加藤、ここのところのファイトは、一体何をしてるんだ!」千葉の心の叫びが聞こえるような厳しい攻撃だ。勿論、やられたらやり返すのがプロレスラー。加藤も反撃し、千葉に思い切り椅子攻撃。
椅子には椅子、一旦リングに戻った加藤を、千葉はエプロンまで引きづり出し、加藤の右足に椅子攻撃を仕掛ける。更には、お株を奪う足攻撃で、加藤の右足にレッグブリーカー。
コーナーで加藤の胸板にチョップの連打を浴びせた千葉は
「Woo~」と雄叫びを上げ、加藤をマネて挑発してみたが、心なし叫びが弱々しく感じた。しかし、明らかに加藤に対する宣戦布告。
加藤も、反撃。本物はこうやるんだと言わんばかりにチョップのお返し。この後、タックルを加藤がかわし千葉は肩からコーナーに激突。加藤は素早くコナーに駆け上がり、いつもであればデドリードライブをやられる加藤の見せ場だが、千葉は何と、スタナーで加藤をマットに叩きつけた。互いに、得意技から、攻撃パターンまで、よく分かっているだけに、マネたりブロックしたり心理作戦のかけ引きが面白い。
このあたりから千葉は加藤の首に攻撃の照準を絞り攻撃。ビル・ロビンソン張りのショルダー式と、マスクド・スーパースター張りのスィング式を複合させたような独自のネックブリーカーを炸裂!
少し前までは、鉄壁のコンビネーションでFOTRのマットをリードしてきた両雄とは思えない、激しいぶつかり合いが展開された。
千葉のスパイビー・スパイクで追い詰められた加藤であったが、最後の力を振り絞り、千葉を垂直に持ち上げ、ここからジャンプし強烈なブレーンバスター。
死力を尽くした闘いはダブル・ノックアウトの結末に。時間にすると6分少々だが、内容の濃い一戦であった。ここか加藤、千葉の行く先は一体どうなるのか?今後の成り行きに注目だ。
<第3試合 20分1本勝負>
△加藤茂郎
6分12秒、両者KO
△千葉智紹
第2試合、佐野 vs. リッキー、ベテラン同士の闘いは、緊張感の続く興行の中でリラックスして楽しめる試合となった。
リッキーが佐野にレッグロックを仕掛けると、互いにレフェリーのブラインドを突いた攻防。佐野がリッキーに鼻フックを仕掛ければ、リッキーも佐野の左足にパンチ攻撃。佐野はリッキーの髪の毛を掴んでお返しと互いに一歩も引かず。
レッグブリーカーで痛めつけられた佐野の左ヒザを、リッキーが持ち上げマットに叩きつける。佐野はヒザを押えてのた打ち回る。
リッキーの見せ場、滞空時間の長~いブレーンバスターから~の、この後、カミカゼで勝負に出たが・・・
場外乱闘で、先にリングに戻ろうとするリッキーのタイツを佐野が掴み、確信犯的にタイツを引きずり降ろす。勝ち誇った佐野が頭脳プレーと言わんばかりに先にリングインを試みるが、エプロンでリッキーの生尻ヒップアタックが爆発し両者リングアウトのオチ。
<第2試合 20分1本勝負>
△佐野直
6分58秒、両者リングアウト
△リッキーフジ
第1試合は、従来のプロレス、ルチャ、総合がミックスした6人タッグそれぞれ各人が見せ場を作った。
大和の登場が、ひと際試合を華やかにした。
最後は田馬場に取られた清水だが、ガンガン行く姿勢は見ていて気持ちいい。
試合後、NECO旗揚げ戦にも乱入したバラクーダが、またしても登場し田馬場のUSヘビーへの挑戦をアピール。今回は、何もする事なくすぐに引き上げたが、かえって不気味であった。
勝利した田馬場、ニンジャ、マイケルが勝ちどきを挙げる。マイケルは今回、カツラを地毛だと称し登場、試合後もカツラ姿であった。
<第1試合 6人タッグマッチ20分1本勝負>
〇田馬場貴裕、ニンジャ・リー、マイケル・アマデウス・オズボーン
9分51秒、グリップラー・フェイスロック
大和ヒロシ、●清水来人、エル・アミーゴ・アモン
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