みなさんこんにちは。
GW開けで大して働いてもないのにウニャ~なだーいしです。
さて
非常に間際のご案内で恐縮ですが、名古屋ダブルリードアンサンブルのメンバーで、5/11(土)14:00から1時間、春日井にあります「文化フォーラム春日井」1F交流アトリウムでコンサートを行ないます。観覧無料です。
「耳で聴く音楽史」
と銘打って、わずか4人での演奏ですが、中世・ルネサンス音楽から、バロック、古典、ロマン派、近現代までお話とともに演奏を楽しんでいただく、という企画です。
詳細は名古屋ダブルリードアンサンブルのホームページ
http://daburi.info/
をご覧ください
こちら練習風景。
ご覧の通り、芸達者な小木曽さんにアレをお願いする曲もあります。
で、コンサートではわたくし石田がペラペラしゃべる予定ですが、なんせ60分で西洋音楽史を概説するので現在それのおしゃべり推敲に追われております。で、本ブログには時間の関係でそこでは取り上げないエピソードを少し。
演目のうち、もっとも長く、メインとなる作品はベートーベン作曲の《「お手をどうぞ」の主題による変奏曲》WoO28です。これはモーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」の中の有名なアリアを基に、ベートーベンが変奏曲仕立てにしたものです。編成はオーボエ2本とイングリッシュホルンの3重奏。それぞれのパートに技巧的な見せ場がある、けっこう難しい曲です。
ちなみにWoOというのは、Werke ohne Opuszahl を指し、真作ながらベートーベン自身がつけた作品番号では「ない(ohne)」作品という意味です(自身が番号をつけたものはOp:オーパスと書かれてありますね)。
ベートーベンは自身の交響曲・序曲等にイングリッシュホルンが出てくる作品をひとつも書かなかったのですが、室内楽ではなぜかこの「お手をどうぞ」と、Trio ハ長調(ミニ交響曲の趣がある)の2作も2Ob+EHという作品をのこしています。なぜだかわかりません。詳しい方いらしたら教えてください(笑)。
ベートーベンが当時楽器の発達にかなり興味を持っていたことは、「第九」の4番ホルンの扱いなどにみられるようによく知られていますが、オーボエについても言える部分があります。
ベートーベンの時代よりちょっと前、モーツァルトくらいまではオーボエの最低音は「ド」でした。その上は「レ」。つまり 低いド# という音は構造上出なかったんですね。
真ん中のながーいキィが最低音を出すための「Cキィ」です。脇にあるちっちゃいキィはふたつとも「E♭キィ」でミの♭を出すキィですね。なぜ両方とも同じキィかと言うと、右手/左手を逆に持つ奏者でも吹けるようにでした。今では「左手が上管、右手が下管」と決まってますが、当時はどちらでも良かったみたいです。(ただしこの楽器は実際に左右逆で吹く人はいなかどうということで、左側はキィこそついてますがこれはダミーで、指穴は開いてません)
これはバロックオーボエの最低音Cキィを押さえたところです。
この指のままハーフホールをオープンにすると、オクターブ上のC#が鳴るのが不思議ですが、ともかくこのシステムでは下のC#は出せませんでした。で、古典派の時代になり、それはいくらなんでも不便だろう、ということでようやくC#のキィが独自に装着されるようになりました。
オーボエに多少遅れて、イングリッシュホルンにも下のC#キィが着くようになりました。で、おそらく史上初の「したのドのしゃーぷ」がイングリッシュホルンに出てきた曲が、今回演奏する
「お手をどうぞ」の主題による変奏曲
でないかと言われています。
これですね。なかなかシビア~な使い方です(笑)
オーボエ吹きとしてはけっこう興味深いエピソードだと思いますが、一般のお客様にはどーでもいいというか、なんのことやらのマニアックなお話なので、ここに載せさせていただきました。今度の土曜、文化フォーラム春日井(春日井市民会館となり)にみなさまぜひお越しください。お待ちしております!
[演奏メンバー]
山本直人(Oboe)