三島由紀夫を読み返そうかと考え中。没後50年だという。

学生時代に一度ほとんどの作品を読んでいるけれど、今、三島由紀夫の生きた歳を超えて、違う感想を持つに違いない。

三島由紀夫を知ったのは梶原一騎の漫画『夕やけ番長』(荘司としお・画)で、主人公の赤城忠治は三島由紀夫の自決に衝撃を受ける。子どもの漫画にそんなエピソードをぶち込んで来るところはいかにも梶原一騎。

最後の小説『豊饒の海』を読んだ時、本当に三島由紀夫の書いた小説なのか、と思うくらい平凡でつまらない作品でがっかりした。
おそらく、三島由紀夫自身も自分の才能の枯渇した事を悟っただろう。死にたくなったのもわかるように思う。

自分の才能は終わった。しかし、そんな理由で三島由紀夫は自殺しない。それは三島由紀夫の美学の問題なのである。三島由紀夫は国を憂いて死ぬ、という演出を考え、実行した。

よく考えたら、そんなことで死ぬ理由など全くないのに。