正義感だけで批判せぬよう、想像力を働かせて考えました?
SNSの中には熊本地震の時と比べている人もいましたが・・・
こちらは熊本地震で被害の大きかった地域をざっくり切り取ったもので、赤丸は陸上自衛隊の駐屯地です。
こちらは今回の能登半島地震で被害の大きかった地域をざっくりと切り取ったもので、この範囲内に陸上自衛隊の駐屯地はありません。
どちらも縮尺は同じです。
熊本地震の被災地は都市にも近く、隣接する他県からの交通網も北、東、南側とあり、海上輸送も有明海沿岸の港から可能。
しかも、被災地の中に陸上自衛隊駐屯地が複数個所あり、発災直後から自衛隊が活動開始できた。
能登半島の被災地へ行くには陸路では南側からの少ない道路のみ。海上輸送するにしても小さな漁港ばかりのうえ、今回の地震で海岸が隆起しており港として使えない状態。
能登半島の被災地内には輪島市内に航空自衛隊の小規模な分屯基地があるのみで、被災地に近い駐屯地は輪島市から100kmほど離れた富山県砺波市にある陸上自衛隊富山駐屯地だろう。
熊本地震の被災地は多くの道路が東西南北に巡っており、迂回によって目的地に行くことも可能だが、能登半島は幹線道路が海沿い、しかも、海岸からすぐ山、崖という道路で迂回は困難なうえ、山間部の道路も谷にあり、震度5前後の余震が多発している状況下において通行するのは危険であろう。
そのうえ、熊本地震の被災地には陸上自衛隊の駐屯地が複数あったが、能登半島地震の被災地には陸上自衛隊の駐屯地はなく、一番近くても100kmほど離れた富山駐屯地、さらに離れた金沢駐屯地くらいしかない。
地域によってこれだけの違いがあるものを同様に考えるのは無理がある。
素人が下手に能登半島の被災地に向かい、通れる道を探して山間部に入り込み、そこで事故や余震による土砂崩れにまき込まれたとしても、地図を見てもわかる通り、山間部には警察署も交番も民家もないうえに通信も使えない。熊本地震の被災地だったら人口も多く、人の往来もあるので気付いてもらえるかもしれないが、能登半島の山間部はそもそも人口が少なく人の往来も無いので誰にも気付いてもらえない可能性がある。
だからこそ、無線や衛星電話を使え、かつ経験のあるプロに任せるしかないなと私は思った。
それでも、何とか早く救助できたり物資を届けたりできないものかと考えてしまう。
じっくり考えたり、想像したり、調べたりすれば何となくでも原因や理由が見えてきたりするものだが、そうせず感情優先で即言葉を発してしまうとただの無意味な雑音になりかねない。
感情だけで他の人たちの感情まで煽り無駄に社会のストレスを高めて何か良い事があるのか?
そのストレスが被災者にまで及んでしまっては、それ自体も災害と言っていいだろう。
【追記】
SNSでは「自衛隊のヘリをもっと使え」という批判もあるが、普通に考えて使えるものは使っているはずだ。自衛隊や政府にとってヘリコプターをあえて使わないことで何の得があろう。
予算をケチる?、自分のポケットマネーじゃあるまいし、ケチる意味が無い。
自衛隊のヘリは機体が大きく、広い平地が少なく山間部ばかりの能登半島には適さないのかもしれない。
一般人には分からないこと、地元公務員には分からないこと、医療関係者には分からないことがあり、それぞれが分からないままに声を発しているのが現状。
熊本の時と違って待てど待てど医療物資や支援物資が届かないと主張する医療関係者、これまでの災害時に比べて道路の復旧作業が遅いと主張する防災・危機管理アドバイザー、そんな言葉を報じる報道を見聞きして政府は何やってるんだと叫ぶ一般人。
被災地で活動している医療関係者の焦りや苛立ちは仕方ないにしても、防災・危機管理アドバイザーやら被災していない一般人はGoogleマップの衛星画像や国土地理院の被災後の航空写真でも見ながら熊本と能登半島の違いについて考えてみろ!
地形はどうなってる?、道路は熊本のように何本も通っているか?、輸送船が接岸できるような港はあるか?
国土地理院には被災後の航空写真が掲載されていて、それを確認すると被害の大きい地域は地盤が隆起しており、被害の大きい地域の港ほどまったく使えない状態となっていることがわかる。
SNSでガーガー雑音を発する暇があるなら、それくらい確認してはどうか?
ほれっ!見ておけ!