本当にプーチン大統領の目的がウクライナの中立化だけだとすれば!の話
YAHOO!ニュース 「橋下徹氏、ゼレンスキー大統領の『中立化』受け入れ発言に『それなら戦争など全く不要だった』」
ウクライナのゼレンスキー大統領が停戦交渉について、関係国による安全保障を条件にNATO(北大西洋条約機構)加盟を断念する「中立化」を受け入れ、核武装も否定する用意があると述べたという記事を貼り付けた橋下氏。
「このウクライナの政治的立ち位置=ヨーロッパの安全保障の枠組みが紛争の原因だったが、それなら戦争など全く不要だった」
「あくまでも政治的妥結の話で戦争前に十分に妥結可能だった」
実に能天気な思考だ。
プーチン大統領が、「ウクライナのNATO加盟がロシアにとって脅威だから侵攻した。」と言えば、その通りに受け取り
プーチン大統領が、「ウクライナが中立化すれば停戦し、撤退する。」と言えば、その通りに受け取るわけだ。
政治家はそんなに馬鹿正直に話をし合う存在でしたっけ?
そもそも、なぜ、ロシアに比べれば弱小国のウクライナがロシアの訴える脅威とやらに配慮せねばならないのか?
では、ウクライナの脅威にはロシアは配慮しないのか?
橋下徹氏は、ロシアによるウクライナ侵攻は、「NATOの東方拡大」に脅威を感じたことで起こったことと主張し続けているが、それは本当なのだろうか?
プーチン大統領と橋下徹氏が腹を割って話し合い、プーチン大統領がそう言ったのだろうか?そんなわけない。
テレビの報道レベルの情報だけを見聞きして、プーチン大統領やロシア政府がそう言っているからという理由でしかない。
もし、本当にロシアが「NATOの東方拡大」や「ウクライナの非中立化」が脅威だから侵攻したと言うならば、ウクライナが中立化を約束すれば、ロシアが支配下にしたと言われるクリミア半島からドネツク、ルハンシクに繋がる地域一帯をウクライナに返還しなければ筋が通らない。
果たしてロシアはクリミア半島とドネツク、ルハンシクに繋がる地域をウクライナに返還するだろうか?
もし、ウクライナが中立化を受け入れロシアと合意しても、ロシアが今回支配下とした地域を返還しなければ、「NATOの東方拡大」や「ウクライナの非中立化」が脅威という理由での侵攻ではなく、単に、領土としてウクライナ領が欲しかったということになる。
さらに、モルドバに対する侵攻、一部地域の実効支配についても説明がつかなくなる。
モルドバはEUにも加盟していない、NATOに加盟する動きも無い時に、ロシアによる侵攻で一部地域を実効支配され、勝手にその地域を独立国にされてしまった。
これは何のための侵攻だったのか?
モルドバはNATO加盟を明言していないので、「NATOの東方拡大」は理由にならない。
モルドバの国力や軍事力がロシアの脅威になるとは思えない。
では、なぜ、ロシアはモルドバやジョージアにも侵攻し、一部地域を実効支配下にし、独立を承認したのか?
少しでも旧ソ連時代の領土を取り戻したいからでは?
それ以外に説明がつかない。
ぜひ、勉強家の橋下徹氏に、ウクライナだけに限らず、モルドバやジョージアにおけるロシア軍の実効支配についても説明していただきたい。
ウクライナ侵攻はウクライナだけの問題ではない!と橋下徹氏はテレビで言っているのだから、当然、モルドバやジョージアにおける侵攻の背景などもしっかりと勉強し理解したうえでの主張のはず。
私は、ウクライナがNATO加盟を断念していても、他の理由をこじつけてロシアはウクライナを侵攻したと考えている。
ロシアによる2014年のクリミア侵攻やドネツクとルハンシクにおける独立承認は、「NATOの東方拡大」が原因とも脅威とも言っていない。
ロシア系住民が云々という理由をこじつけて行われたものだ。
ロシア系住民が多く居住している地域はそれを理由にできたが、さすがにウクライナ全土への侵攻の理由にはできない。
そこで、「NATOの東方拡大」や「ミンスク合意に反した」などという理由をこじつけて行ったに過ぎないと考えている。
ウクライナが中立化を約束しロシアと合意すれば、ロシアはこれ以上ウクライナを侵攻する理由を失う。
だからこそ、合意前に東部地域、南部地域の侵攻に注力し、少しでも支配地域を増やそうと方針を転換したのだろう。
ウクライナ南部や東部地域であれば、「ロシア系住民が云々・・・」という理由で押し通せるからだ。