専門家の発言にも??と思うようなことが多い
3月20日のNHK日曜討論を見ていて、神奈川大学教授の羽場久美子氏の発言に所々??と思うような部分が
ゼレンスキー大統領の演説についてどう見ているか?
ひとつ申し上げたいのは、現在の報道の多くはロシア悪、ウクライナ善という二元的な対立を示しているように思うのですけど、戦争はどちらか100%が悪ということではないと思います。
お互いに企みがあって武力行使に至ったという始まりならそう言えよう。
だが、今回のウクライナ侵攻は、ロシアがウクライナに攻撃されたわけでもなく、攻撃するぞと脅したわけでもなく、ロシア軍が軍事演習だとしてウクライナ周辺に軍を集め、ベラルーシなどで軍事演習を行い、演習後は軍を撤退させると言いつつ侵攻のための配備を行い、「平和維持のため」などと意味の分からない理由を掲げてウクライナ領に勝手に侵入し武力行使し始めたものだ。
これでも、ウクライナも悪い?
そもそも、これは「侵攻・侵略」ではなく、「戦争」とか「紛争」などという表現が正しいのだろうか?
どうもロシア寄りの思考の人は、これを「侵攻・侵略」とは言わず、「戦争」や「紛争」という言葉で表現する者が多い。(鳥越俊太郎氏もそうだ)
ところが、羽場久美子氏は、次で「ウクライナ侵攻」と言っている。
もちろん、プーチンのウクライナ侵攻というのは極めて残虐で問題はありますけれども、ゼレンスキーが要求しているのは武器供与であり、そして国内の18歳から60歳までの男子に対する総動員令です。
そこに外から来た武器を配るという状況の中でむしろ戦況を悪化させ、拡大させているというところも見なければならないのだと思います。
「プーチンのウクライナ侵攻というのは極めて残虐で問題」と言いつつ、「けれども」で打ち消したも同然。
「ゼレンスキーが要求しているのは武器供与であり」と指摘しているが、
その武器はロシア軍のミサイルや戦闘機を撃墜したり、ロシア軍の侵攻を食い止めるための武器であり、ウクライナの国土と国民の命を守るための武器だ。
その武器でウクライナがロシア領内を攻撃していますか?
それと、「国内の18歳から60歳までの男子に対する総動員令」と指摘しているが、
ウクライナは独裁国家ではなく民主主義国家だ。
独裁者が強引に国民を縛り付けているわけではなく、ウクライナの議会で定められた法律に基づいているものだ。
中には反対の国民も存在するだろうが、民主主義における手続きを経て決められたもの。
ウクライナ国民に話を聞いてみればいい、当然、納得していない人もいるだろうが、多くは納得したうえで国内に残っているはずだ。
さらには、「外から来た武器を配るという状況の中でむしろ戦況を悪化させ、拡大させている」?
では、ロシア軍のミサイルが飛んできても撃ち落さずに受け止めろと?
ロシア軍が攻撃しながら侵攻してきても、反撃や防戦もせずに撃たれて死ぬか、とっととウクライナの国土をロシアに明け渡せと?
あら、つまりは、橋下徹氏や玉川徹氏、鳥越俊太郎氏の思考と同じということですね!
最後はこれ!
国際社会として私たちが考えていかなければならないのは、ウクライナ国民に多大な犠牲を強いている、その両方の側の軍事行動を止めていくことに他ならないのではないかと思います。
「ウクライナ国民に多大な犠牲を強いている」などと、ウクライナ国民の「命」を気遣っているかのように前置きしたうえで、「両方の側の軍事行動を止めていくこと」と主張。
これは両者が戦うことを合意したうえでの「戦争」ではなく、ロシアが一方的にウクライナ領内に侵入し武力行使し始めた「侵攻・侵略」である。
つまり、ロシア側の軍事行動から守るため、食い止めるためのウクライナ側の軍事行動ということ。
ロシア側の軍事行動が無ければ、ウクライナ側の軍事行動も無い。
よって、両方の側ではなく、ロシア側の軍事行動さえ止めれば済む話だ。
まるで、「双方が悪い」かのように装うのはやめるべきだ。これではロシア寄りのプロパガンダに過ぎない。
停戦協議の合意の可能性とその条件についてどう見ているか?
停戦合意については、15年の時の「ミンスク2」をメルケルが打ち出しましたけれども、それは非常に重要な公平なものであったと思います。
そもそも、ロシアやロシアが関わっている武装勢力によるクリミア侵攻やウクライナ東部地域での紛争自体に公平性が無いのに、その停戦合意が公平なものと言えるのか?
客観的に見れば、ロシアがウクライナ国内で武装勢力を装い紛争を引き起こし、武力による威嚇と支配によりウクライナを屈服させ、ロシア、ベラルーシ、ドイツ、フランスといったロシアと関係の強い国々がウクライナを押さえつけたようなものだ。
当時のドイツ、フランスはウクライナ東部のロシア支配に加担したようなものだろう。
今考えれば、2014年のクリミア侵攻もそれ以来続いていたウクライナ東部の紛争も筋の通っていない出来事で、ロシアの一方的な支配なのに、当時は今のように世界が動かなかった。
2014年当時の終始不公平(羽場久美子氏は公平と言っているが)な出来事に対し、世界が筋を正すよう動いていれば、今回のウクライナ侵攻は起きなかった可能性もある。
やはり、本質を見失い筋の通らぬ行いをすれば、物事は必ず悪い方向へと進むのです。
この主張もまるでロシア寄り
双方の戦闘の停止、戦線からの重火器の撤去、外国軍と傭兵の撤退、さらに地方選挙でドネツクやルハンシクの帰結については、そこにおける選挙が必要なのではないかと思っています。
そのような形でまずはミンスク2に戻る、そのうえで、最近ゼレンスキーが言っているNATOの加盟の停止と場合によっては中立ということも考えて行かなければならないかと思います。
そもそも、ドネツクもルハンシクもウクライナだ。
ロシアが武装勢力などを使って工作し、紛争状態を引き起こし、その地域一帯をウクライナから切り離し、独立国として勝手に承認しているだけ。
全ての住民が親ロシアでもなければ、ウクライナからの独立を望んでいるわけでもない。
ロシアによる工作なしに地方選挙を行えばその地域住民の民意が正しく表明されるだろうが、武装勢力が存在している状況での選挙はロシアに「偽の正当性」を与えるだけになる。
さらには、「NATO加盟の停止と場合によっては中立」だと?
まるでロシアの主張そのままではないか。
ウクライナ国民の命を守るかのように見せかけて、結局はロシアの主張そのまんまを受け入れろということでしょ?
「犠牲を無くす」とか、「命を守る」というような発言で上っ面を繕い、中身はロシアのプーチン大統領と同じ。
このような偽善に騙されていては、数年後に再びロシアによる侵攻、武力による支配がどこかで行われることだろう。