今は話題にもならない世田谷区の「誰でも、いつでも、何度でもPCR検査」。
東京新聞 「世田谷区がPCR検査を拡充へ『誰でも いつでも 何度でも』」
結局、下記を検査の目的として、誰でもではなく、いつでもではなく、介護事業所、障害者施設、児童養護施設の職員と入所者、保育園、幼稚園、小学校、中学校の教職員に対してのみ積極的に実施しているようだ。
【検査の目的】
- 施設利用者への感染を未然に防ぎ、重症化を避けること
- 感染者または感染疑いのある方に接触した可能性が高い方に対して、早期に対応すること
- 施設内でのクラスターを抑止すること
上記を目的とした検査を実施することで、施設内感染を防ぐための迅速な対応に繋げ、職員が安心して業務に従事できるように、福祉サービスを止めない環境を築いてまいります。
上記の目的通り、施設利用者への感染を未然に防ぐことで、施設内でのクラスターを抑止できれば良いことだし、理想ではあるが、私が当初から指摘しているように、PCR検査は検体を採取した時点より前の状態がわかるだけなので、PCR検査で感染を防止することはできない。
PCR検査のために検体を採取した時点より前に感染していれば、PCR検査で陽性となる可能性が高い。
だが、そこで感染が判明したということは、それ以前から感染していたといこと。
なので、既に他者に感染させている可能性が高いということだ。
また、PCR検査のために検体を採取した時点より前に感染していなければ、PCR検査で陰性となる可能性が高い。
だが、検体を採取したその直後に感染してしまえば、その陰性という結果は無意味となる。
なので、陰性という無意味な結果に安心して他者に感染させてしまう可能性が高まるということだ。
よって、PCR検査で感染拡大は防げない。
PCR検査で感染拡大を防ぐのであれば、PCR検査を毎日実施しない限り困難で、PCR検査自体100%の精度ではない以上、毎日実施しても他者への感染を100%防ぐことはできない。
だからこそ、PCR検査を受ける、受けないにかかわらず、そして、PCR検査の結果にかかわらず、他者への感染防止、自身の感染防止は徹底し続けなければならないということ。
そう確信できる事例が、その世田谷区での集団感染。
NHK NEWS WEB 「東京 世田谷区 新型コロナ 老人ホームでクラスター 29人感染」
積極的にPCR検査をしていても、やはり、職員が感染しないこと、利用者に感染させないことを徹底するより他ない。
そして、この件で気付いたこと。
なぜか、この報道がNHKのみ。
世田谷区のホームページにもしっかりと掲載されているが、NHK以外は触れていないし、世田谷区のお知らせ記事内も「集団感染」や「クラスター」とは表記していない。
散々、「全員PCR検査しろ!」だの、「大量PCR検査しろ!」だの、「大量PCR検査しなければ感染拡大は止められない!」などと煽っていたメディアにとっては、「誰でも、いつでも、何度でも」を掲げていた世田谷区の老人ホームでの集団感染は都合の悪い事実なのかもしれない。
また、上記に記したように、介護事業所などでの集団感染を防ぐことを目的として積極的にPCR検査をしていた世田谷区にとっても、老人ホームでの集団感染発生は都合の悪い事実なのだろう。
だから、メディアは触れないし、世田谷区は「集団感染」、「クラスター」という表記をせず、静かにお知らせをしているのではなかろうか?
その気持ちはわからないでもないが、自分の都合に合わせていては、事実が正しく伝わらず、PCR検査をどの程度信用すればいいのか、PCR検査をしつつも何をどうすればよかったのかなど、本当に必要な情報、ノウハウを得られず、どこかで同じことを繰り返すかもしれない。
事の本質を自己都合で見て見ぬふりをして、今後に良い効果や良い結果を与えることなどできるわけがない。
自身の主張や施策が成功に至らなかったとしても、その事実をしっかりと伝え、世の中を改善させるのがメディアや自治体の使命ではなかろうか?