菅首相が6人を任命しないことで多くの人が知ることとなった「日本学術会議」とその会員の選定方法。
そもそも、「日本学術会議」とは?
どうやら、大学教授やら研究者やらの中から推薦された会員や連携会員やらが集まって、政府に対して色々と提言や報告、政府からの質問への回答を行っている組織らしい。
日本学術会議のホームページには、
日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信の下、行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させることを目的として、昭和24年(1949年)1月、内閣総理大臣の所轄の下、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立されました。
とある。
表向きは戦後の発展をより推進させるために設立された組織といった感じだろうか?
210人の会員と約2000人の連携会員で構成され、その他に事務的な職務にあたる職員などがいるであろうこの組織運営に年間10億5千万円ほどの国民の税金が使われている。
まぁ、存在意義は理解できるし、あっても良い組織ではあると思うが、実際にどれほど行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させられているのかが重要だろう。
国民生活に科学・・・諸外国では当たり前のように利用している国民識別番号制度(マイナンバー)の活用や、その電子化すらまともに進んでいないように思うが、行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させるための日本学術会議はどう取り組んでいるのか?
もちろん、日本学術会議で扱う分野はIT分野だけではないので、他では10億円に見合う成果をあげているのでしょう。
ということで、日本学術会議のこれまでの提言、報告などをちらっとではあるがいくつか見てみたら・・・
まぁ、漢字や難しい専門用語が多く使われている文書で、学術会議という名の通り学術的かのように上っ面では見えるが、それなりの根拠として掲げているデータは引用がほとんどで、提言に至っては、当たり前と言えば当たり前の提言ばかりだった。
その分野に多少興味があり多少詳しい素人からすれば、「そりゃ、そうするのがいいに決まっているでしょ!」と思う程度のざっくりとしたものばかり。
目から鱗が落ちるような、「あっ、そうすればいいのか!!」と思うような画期的な提言は特に無かった。
有名大学の有名教授でなくても、その分野に興味があり多少詳しい人程度でもそう提言するだろうなというレベルに私には思えた。
戦後すぐの焼け野原で何もない状態や、前例がすべて失われた状態であれば、そういったざっくりとした提言でも進むべき道が見えてありがたかったのかもしれないが、問題が山積し、複雑化し、一朝一夕には改善できない時代において、具体的ではないざっくりとした提言をされたところで、容易に先に進めるとは思えない。
今の時代は、そうすべきだとは分かっているが、そうするにはどうしたらいいのか?という部分で日本は行き詰まっているように思う。
まぁ、これは私個人の感想なので、「日本学術会議」の存在意義や費用対効果などについては日本国民全体で議論してみてもよいのでは?という提言をしたいところだ。
ただ、最も理解できないのは、菅首相が6人の任命をしないからという理由で、なぜ、学問の自由が侵害されることになるのだろう?
日本学術会議は、行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させることを目的として政府などに提言をする組織であって、個人が学問をする場ではない。
任命されようがされまいが、その大学教授や研究者は本来の大学や研究所において学問や研究に取り組むことができるわけで、菅首相が任命しないことで学問に関われなくなるわけではないだろう。
任命されないことに不服なのかもしれないが、だからとて「学問の自由が侵害される」という反発の仕方は筋が通っているようには思えない。
本来なら、任命されなかった理由を教えてくれと反発するのが筋だろうし、国民の一人である私からすれば、任命されない理由も知りたいところだが、そもそも、日本学術会議の会員や連携会員は誰が何を理由に推薦しているのかも知りたいところだ。
国民の税金から10億円も使っているのだから、国民に対して、この会員は誰が何を理由に推薦したのかを明確にしておく義務があるはずだ。
そのうえで内閣総理大臣が任命すべきものだろう。
日本学術会議の「日本学術会議における活動の手引き」にも以下のように記載されている。
会員又は連携会員による推薦その他の情報に基づき、選考委員会が候補者名簿を作成。総会の承認を得て、会員の候補者を内閣総理大臣に推薦。内閣総理大臣が任命。
会員や連携会員の中の誰が推薦したのか、どの情報に基づいているのかは、日本学術会議の会員名簿にもホームページ内にも記載されている様子は無い。
つまり、国民の税金を使っているにも関わらず、国民の知らぬところで、知らぬうちに、知らぬ理由や事情で推薦された人が今までは機械的に内閣総理大臣に任命されていたわけだ。
そして、その国民の知らぬところで、知らぬうちに、知らぬ理由や事情で会員になった人たちが、国民に関わる事に提言などをしていたということだ。
菅首相が任命しない理由を明らかにしないのもどうかと思うが、日本学術会議がどのように会員を決めているのかを明らかにしないのもどうかと思う。
なので、この件については、菅首相は何を理由に任命しなかったのかを国民に明確にすること、日本学術会議は誰が何を理由に会員や連携会員を推薦したのかを国民に明確にすることが必要だと考える。
国民の見えないところで政権の思惑通りにしようとするのも問題だし、国民の見えないところで政府に提言する人を選んでいるのも問題だし、それらを差し置いて「学問の自由の侵害だ」などと少しずれている主張を政権攻撃の道具に使うのも問題だ。
政府も日本学術会議も野党も筋の通っていないことをし合う前に、国民の方を真っすぐに向いて、すべてを本質から見直すべきだ!
日本国民の税金が使われているのだから、国民にそう主張する権利はあるはずだ。