一部の人なのか大半の人なのか知らないが、「韓国が大量検査で感染拡大を抑えた」と主張している人がいる。

 

果たしてそれは事実だろうか?

 

大量検査をしているのは事実だ。

 

しかし、大量検査だけをしているわけではない。

 

韓国でも外出自粛要請をしているし、マスク着用率の高さも維持している。

 

 

 

大量検査は感染者を発見し隔離や自宅療養へと導けるが、国民全員を検査するには至っていないだろう。

 

無症状の人は検査を受けようと思わないだろうし、強制的に検査を受けさせるにしても国民全員は物理的にも無理だ。

 

そもそも、検査で「陰性」になったからといって、その後も「陰性」であり続けるわけではなく、数時間後、数分後にどこかで感染すれば「陰性」という検査結果はたちまち無意味なものになる。

 

つまり、国民の中から感染者を見つけ出すためには、全国民を定期的に複数回検査しなければ、検査だけで収束させることなど不可能ということ。

 

そもそも、無症状のうちから感染拡大させてしまうのだから、検査で「陽性」になった人を隔離、自宅療養させる前に感染拡大しているわけだ。

 

検査の前に手を打たねば感染拡大は止められないということ。

 

だからこそ、外出自粛要請やマスク着用を勧めているのだろう。

 

 

 

実際、大量のウイルス検査で感染拡大を止めた国は存在していない。

 

中国も当初は大量検査していたが、切りがないので途中から検査で感染の有無を確認せず、発熱、咳などの症状がある人を有無を言わさず隔離するようになった。

 

それもあって、感染者増加のグラフが途中から急に水平方向に傾いたのだろう。

 

つまり、当初はマスク着用義務と大量検査による隔離だったが追い付かず、徹底した外出禁止と感染の有無にかかわらず症状があれば即隔離に移行し、中国は感染拡大を止めたのだ。

 

そして、今でも中国はマスク着用率を高く維持している。

 

そのために、中国政府はマスクの生産増と輸出禁止で、国内需要と備蓄を優先させたわけだ。

 

 

 

大量検査すべきと主張する人に教えてもらいたいことがある。

 

どこで感染したかもわからない無症状の人が感染拡大させているのだが、そのような人にどうやって検査を受けさせるのか?

 

症状のある人を検査して陽性なら隔離や自宅療養してもらうのはわかるが、それで感染拡大を防げたと言えるのだろうか?

 

症状が出る前の段階で他者に感染させている事例が多くある中、症状が出てから検査して隔離、自宅療養させても感染拡大を防げないのではなかろうか?

 

陰性の結果になった人は安心して普通に生活していいのだろうか?

 

 

 

無症状のうちから他者に感染させてしまうのだから、検査を受けるよりも前からマスク着用などで飛沫感染を防がねばならないわけだし、

 

陰性という結果でも、その結果の信頼性が100%ではないわけだし、陰性という結果を受け取ったその数分後に感染することだってあり得るのだから、

 

結局は、検査を受ける前も後も、検査の結果が陰性だとしても、マスク着用で飛沫感染を防ぐ行動を取り続けなければならない。

 

 

 

自身が無症状の感染者かもしれないので、検査を受ける前からマスク着用で飛沫感染を予防。

 

検査で陰性だったとしても、その精度が100%ではないし、検査後に感染する可能性もあるのだから、検査を受けた後もマスク着用で飛沫感染を予防。

 

となると、大量検査の意味とはなんぞや?

 

やはり、ウイルス検査は診断のための手段であって、感染拡大防止の手段ではないということだ。

 

韓国が欧米諸国のような爆発的感染拡大に至らなかったのは、大量検査の結果ではなく、マスク着用率の高さと外出自粛だと思う。

 

 

 

感染拡大防止には、

 

マスク着用率を100%に近付けて、飛沫感染の確率をゼロに近付けるか、

 

それができないなら、外出の自粛要請や禁止によって、人と人との接触を制限して感染確率をゼロに近付けるしかない。