実に面白い記事を見つけた。
国際ジャーナリストという肩書の高橋浩祐氏が書いた記事「最悪の日韓関係。安倍首相に師匠の遺言は届くか」というもの。
朝日新聞社の「論座」に掲載されていた記事。
そこには、韓国大統領が「日本が対話と協力の道に出てくるならば、我々は喜んで手を握るだろう」と演説したことに対し、
これで、ボールは安倍晋三首相の手に移った。日本はどう対応するのか。
と書いてあるのだが・・・
日本が投げたボールとは違うボールを返されたことには触れていない。
日本が投げたボールは、国際条約や二国間の取り決めをしっかりと守ってくださいというボール。
韓国から投げ返されるとしたら、「国際条約は破棄する!」というボールか、「国際条約や日韓の取り決めを守り、対応します」というボールのどちらかでなければ筋が通らなくなってしまうし、キャッチボールではなくなってしまう。
しかし、韓国大統領は、「日本が対話に応じれば相手してやる」という、日本が投げたボールとはまるで違うボールを投げつけたに過ぎない。
単純に言えば、会話が成り立っていない状態だ。
こんな状態でも、ボールが安倍晋三首相の手に移ったと言えるのだろうか?
野球のキャッチボールしていたら、突然、レンガを投げてきたとしたら、高橋浩祐氏はどうします?
にこやかにレンガを投げ返します?
それでも野球のキャッチボールと言えます?
さらに、高橋浩祐氏は、
日韓がより緊密な関係を築き、率先して、過度なナショナリズムを意識的に克服し、東アジアの平和と安定と繁栄に向けて手を取り合わなくてはならないはずだ。
安倍政権は、この機を逃さず、文大統領の対話の呼び掛けに応じてほしい。
と書いている。
「日韓が」手を取り合わなくてはならないはずだと主張している割には、韓国の身勝手な投げつけを問題視もせず、それに対して日本がどうにかすべきという主張にしか受け取れない。
韓国の身勝手を日本が我慢してまたも受け入れろということか?
文章の上っ面では、両国が手を取り合ってとなっているが、中身は違うことに気付く人は多いだろう。
両国でと言いつつ、結局は日本が最大限の譲歩を再びしろ!と言っている。
そんな筋の通らぬことをしている以上、日韓関係は本当の意味での改善には至らないだろう。
「安倍政権は、この機を逃さず、文大統領の対話の呼び掛けに応じてほしい。」とあるが、「文政権は、日本の約束を守れという呼び掛けに応じてほしい。」というのが先なのではなかろうか?
事を正すには、事を正しく理解し、正しい順序で事に対処していかねば、正しく改善、正しく進めることなどできない。
過去のような棚上げが事の順序をバラバラにしてしまい、結局は今のような状態を作ったのだと認識すべきだ。
本質を見失い、筋の通らぬ行いをすれば、物事は必ず悪い方向へと進む。
今のこの状態を本当に改善したいのであれば、途中で投げ合っているボールを別のものに差し替えるようなことはせず、正しいボールを正しい順序で投げ合うことが必要だろう。それが改善への最低条件だ。
とすると、日本が投げた「約束は守ってくれ」というボールを韓国大統領は別のボールに差し替えることなく正しく投げ返さなければならないということだ。
どうも、反安倍政権なのか、反日なのか知らないが、その傾向が感じられる記事には、「経済のために日本が譲歩しろ」といった内容の記事も見受けられる。
金のために、相手が約束を破ったことも、相手が捏造した部分もすべて受け入れろということか?
従軍慰安婦や徴用工問題については、韓国内の学者の中からも、「韓国の主張は事実とは異なる」という声が出始めている。
韓国の主張すべてが捏造ではないとしても、捏造が含まれたものを経済のために日本が認めれば、日本は未来永劫、捏造部分も行った戦犯国、加害者として扱われることになるだろう。
経済を優先することで、子や孫の世代までもが、やってもいないことで戦犯国の国民、加害者と罵られることになるが、それでよいのか?
「すべてを認めればこれ以上追及しない」と約束したところで、従軍慰安婦の日韓合意のように韓国の都合によって約束は勝手に破棄され、その度に、やってもいないことを蒸し返されて戦犯国だの加害者だのと罵られることになるのは、ここ半世紀ほどの歴史を正しく認識していれば容易に想像できる。
それでも、高橋浩祐氏は、安倍政権が文大統領の対話の呼び掛けに応じるべきだと思うのだろう。
私は、日本が投げたボールとは違うボールが返ってきたら、それは放っておけばよいと思う。
応じるとすれば、「投げ返したボールが間違ってますよー!」、「日本との約束を守ってくださいというボールを投げたので、そのボールを投げ返してくださいね!」と言ってあげるくらいだろう。
野球の試合中に突然バレーボール投げられてもねぇ・・・
明らかなルール違反でしょ!