18日の読売新聞社の記事でこのように報じられていた。
埼玉県秩父市が15日以降、自衛隊の派遣を要請するよう県に打診していたにもかかわらず、県が当初「除雪のための派遣要請はできない」と拒否
防衛省によると、17日午後3時現在、自衛隊に派遣を要請したのは山梨、群馬、長野、静岡、東京、宮城の6都県。山梨県は最も早い15日午前11時20分に要請しており、群馬、長野両県も同日中に要請した。
秩父市の久喜邦康市長が電話で県側に自衛隊の派遣要請をしたのは15日午後5時20分頃。
県の担当者は「自衛隊と協議したところ、除雪だけを理由に要請するのは難しい」と受け入れなかったという。
秩父市、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町の5市町は17日午後6時半、自衛隊の派遣を改めて文書で要請した。県はほぼ同時に自衛隊に派遣要請したが、山梨県より約55時間も遅れたことになる。県担当者は「『助けてほしい』という声は秩父地域から届いていたが、救助に必要な要件を満たしていなかった」と話した。
また、県が大雪で孤立集落が出た場合の対策を想定していなかったことも判明した。
県担当者は「これほどの積雪はそもそも想定しておらず、大雪で孤立集落が出るとは思っていなかった」と釈明した。
確かに、除雪のために自衛隊を派遣するわけにはいかないだろう。
新潟、福島などの豪雪地域では1日に1m積雪などよくあること、その度に自衛隊に派遣要請などしていない。
新潟などの豪雪地域の人たちからすれば、その程度で自衛隊?と思われても仕方のないことだろう。
しかし、今回は雪対策がなされていない地域での出来事。
県担当者が「救助に必要な要件を満たしていなかった」と発言したらしいが、自ら現場を確認しての判断ではないだろう。
県内の自治体が被害を受けているというのに、県担当者は足を運ばずに判断を下していたのだろう。
さらには、「これほどの積雪は想定しておらず、孤立集落が出るとは思っていなかった」などと、東日本大震災がありながら未だにこのような発言。
想定外を想定しておくのが東日本大震災以降基本だ。
危機管理の認識が実に甘すぎる。
そして、役人はもっと足を使え!と言いたい。
困っている地域、困っている人は役所ではなく、現場にあり、現場にいるのだ。
机上だけで物事を判断できるほど役人は優秀でもなければ、千里眼でも持っている超能力者でもない。
私は自治体で勤務していたが、何か障害や問題が発生すれば、すぐに駆け付けたものだ。
おかげで、自治体内の施設のほとんどに訪問し、その周辺地域の様子なども把握できた。
市町村だけでなく、県の職員ももっと足を使え!
15日に秩父市が派遣要請をしているが、県が断っている。
断るからには県は責任を持って秩父地域のライフラインを確保しなければならないはずだ。
しかし、その後、関越自動車道、圏央道、国道140号、国道299号が積雪と雪崩により通行止めとなり、秩父地域へのラインは完全に封鎖されてしまった。
18日現在でも国道299号横瀬町付近で通行止めが続いている。
埼玉県庁から秩父への最短距離がこの国道299号だが、埼玉県は299号線の維持ができないだけでなく、未だに復旧もできていないわけだ。
誰かがこの失態の責任を取るわけでもなく、時間だけが経過し、再び同じことを繰り返すのだろう・・・
今回の大雪に対して埼玉県がすべきだったことは、
最低限、国道140号、国道299号の除雪だけでも昼夜問わずし続けるべきだった。
あれほどの雪が降っていれば、山梨県側、群馬県側の道はすべて通行不可能になることは容易に予測できる。
ならば、埼玉県内の秩父へ向かう道は絶対に通行維持させなければならない。
その認識の無さ、危機感の無さ、自宅の心配や自分の帰宅、出勤しか心配していない職員の多さが大問題だろう。
そして、秩父地域についても、これを機に、積雪数メートルでもライフラインを維持できる体制を整備すべきだろう。
YouTubeに秩父地域の除雪の様子などがアップされているが、正直、新潟とは比較にならないほど貧弱で下手なものだと思う。
今回はやむを得ず自衛隊派遣要請をしたが、今後はこれくらいでは負けないインフラ整備と危機管理体制の確立が課題となるだろう。
私が新潟生まれなもので新潟と比較してしまうが、
新潟県内の国道は深夜でも除雪車が定期的に走り、通行の維持を怠らない。
だからこそ、3mの積雪があろうとも物資が不足するといったこともない。
埼玉県内は雪が降り止んでから除雪開始。それも貧弱で非効率的なやり方で。
余計に経費もかかることだろう。
20センチ積もったら1回除雪車を走らせる、また積もったら走らせるといったことをしていれば、これほど混乱することはなかっただろう。
富士見市の体育館の屋根が崩落したのも、途中で業者に割増しの代金を支払ってでも1回雪下しをしていれば防げたこと。
数十万円でも数百万円でもかけて雪下ろしをしていれば、数千万円の被害を防げたはず。
自治体の対応の悪さが無駄に税金を使うことになってしまうわけです。
さて、国道299号線は今日にも復旧するかな?
別の記事でも書いていますが、
夏に想定外の豪雨や竜巻があれほど発生していたのに、冬はいつも通り、想定外のことは起こらないなどと何を根拠に考えていたのでしょう?
夏がこれまで通りにはいかくなっているのならば、冬だってこれまで通りにはいかなくなると考えるのが当然であり、筋だと思うのですがねぇ・・・
いい加減、「今まで通りにはいかない」これがキーワードだと認識すべきです。
政治も外交も経済も暮らしも自然も
さぁ、想定してみましょう。富士山が噴火し、大量の火山灰が降り積もったら・・・
埼玉県では何もできないことが今回のことで証明されました。
埼玉県庁、埼玉県内の各自治体は鹿児島市からノウハウを学ぶべきでしょう。
雪については新潟へ。