国民の関心が高まる前にそそくさと決めてしまおうとしている「特定秘密保護法」。


いつもならなかなか決められない国会が、これに限っては急に表面化したと思ったらあっという間に国会を通過しようとしている。


何をするにも遅い政府、国会が、この「特定秘密保護法」については対応がスムーズ。


実に怪しい。



この法案の成立についても、どこかで裏取引をしているのではと思えてならない。



この法案が今の内容のまま成立すれば、完全に政府、官僚有利の状態が築かれることになる。


何しろ、特定秘密に該当する情報を決めるのも政府、官僚。


その情報が国民に損害を与えることであったり、その情報を知らせることで国民を救うことができるとしても、


その情報を漏らせば懲役刑。


その情報を知っただけでも懲役刑。


つまり、知ってしまった者を5年、10年と刑務所に閉じ込めることができてしまう。


国民を救うために政府、官僚が特定秘密に指定した情報を国民に知らせたとしてもだ。



例えば、原発事故が発生し、放射性物質が広く拡散したとしても。


政府、官僚がそれを特定秘密だと指定すれば、その情報は被害を受けるであろう国民に知らされることはないし、正義感ある者が放射能汚染を国民に知らせようとすれば、その者は逮捕され、懲役刑として隔離されてしまう。


こういったことも政府、官僚が容易にできるようになるということだ。


原発事故による放射能汚染は法案に規定している特定秘密には該当しないと言うかもしれないが、


法律というものはどこかに穴があるもの。


放射能汚染で国内が混乱し、その隙をついて他国が侵略しては困るので、放射能汚染を特定秘密にして国民には知らせない。


というふうに、どうにでも理由は付けられてしまう。



国外に情報が漏れることによって国民が損害を被ることもあるが、国内に情報を出さないことで国民が損害を被ることもあり得るわけだ。


現状では報道機関が「知る権利」を掲げて問題点を指摘しているが、実は国民すべての人に大きく関係する法案なのです。


でも、国民の普段の生活には程遠いもののように見せかけているため、国民の関心は高まらない。


「スパイ」、「国家機密」、「内部告発」という言葉を聞いても、「私たちの普段の生活には関係ないわね」としか思わないだろう。


そう見せかけておきながら、政府、官僚有利な法案をそそくさと決めてしまおうとしているのが今だ。



そもそも、この法案が無い今の時点でも、沖縄米軍基地などについての日本政府とアメリカ政府との裏取引は明らかにされていない。


アメリカでは期限を定めて裏側の情報を公開するようにしているので、いつしか明らかになるが、日本ではそのようなシステムはなく、あるとしても期限をどうにでも延長できてしまうような狡いものとなっている。


どうも、日本政府、官僚が定めようとしている「特定秘密保護法」の本質が何なのかあやふやだ。


このままでは、国家や国民を守るためのものではなく、政府、官僚が国民をコントロールするためのものになってしまうだろう。