西武鉄道を傘下に持つ西武ホールディングスの筆頭株主であるアメリカの投資会社サーベラスが、株式公開買い付け(TOB)を実施しようとしている。
サーベラス側としては、西武ホールディングス株の価値を高めて、より多くの利益を得たいわけで、
そのために、ホテルのサービス料値上げ、西武鉄道特急料金の値上げ、西武鉄道不採算路線の廃線などを要求している。
ここで大問題となるのが鉄道の廃線だ。
西武多摩川線、西武山口線、西武秩父線がその対象となっているが、単なる金儲けのためにインフラを廃止させてもよいのだろうか?
サーベラスというアメリカの投資会社が日本の一部地域の人々の生活など考えるわけもない。
単に金儲けできればいいわけで、西武秩父線を廃線にし、秩父の観光が衰退しようが、沿線住民の生活が困難になろうが、そんなことは知ったことではないだろう。
そもそも、ホテルサービス料の値上げや特急料金の値上げ、鉄道の廃線などで経営が改善するという判断も実に短絡的で、程度の低い考え方、何のアイデアもない発想だ。
何せ、西武秩父線を廃線すれば、特急の意味もかなり損なわれる。
つまり、サーベラス側は西武ホールディングスの仕事をよく理解していないくせに口を出しているのでは?
単に、不採算な部分をカットし、より儲けられそうな部分を値上げして収益を上げようという、言わば、「バカでもできる経営手法」をもとに口を出しているとしか思えない。
※最近の日本企業にも「バカでもできる経営手法」が多く見られる。
地域に密着して収益を上げ、時には地域に還元する。
その繰り返しで存続してきた会社、事業に対して、地域の実情も知らない遠く離れたアメリカの単なるマネーゲームを行う会社が口を出すなど、本来はあってはならない。
本質からそれてしまうし、筋が通らなくなる。
本質を忘れ、筋を通さなかったことで大変な事態を招いた事例がそこかしこにあるではないか?
福島第一原発事故などは最近で一番大きな事例だろう。
人間関係も、企業間も、外交も、本質を忘れず筋の通らないことをしなければ、少なくとも悪い方向へは進まない。
金儲け目的で地域の人々の生活に関わることに口出しするのはやめていただきたい。
ちなみに、
TPP交渉に関連してアメリカの自動車業界が「日本の軽自動車を廃止しろ」といった要求を出したが、これも本質を忘れた筋の通らない要求だ。
日本の事情に合わせた、日本人が必要とする自動車が軽自動車だ。
それを単にアメリカ車を売りたいがために廃止しろとは、どこに筋が通っているのだろう?
消費者が必要とするものを作るという、ものづくりの本質はどこへ?
必要としないものを勝手に作り、それを無理矢理買わせるというのは、筋が通っているのか?
アメリカの自動車業界が日本人にもっとアメリカ車を買ってもらいたいのであれば、日本人が必要とする自動車を作ればいいだけのこと。
そんなことすらできないのだろうか?
不当にハードルを下げさせて楽に飛び越えようとするランナーを誰が応援する?
日本の自動車業界はヨーロッパの高い環境基準を頑張って飛び越えた。
アメリカの自動車業界も日本の環境基準や消費者の要望を頑張って飛び越えるべきだ。