日韓通貨スワップの期限が2012年10月末までとなっていることから、現在の日韓関係を考慮し期限を延長しない方が・・・
という意見も出ている。
これに対し、尖閣諸島問題で中国がレアアースの輸出規制を行ったのと同じ行動になってしまうという意見がある。
中国のやったことは明らかなる制裁、嫌がらせだ。
しかし、日韓通貨スワップに関しては、たまたま期限が2012年10月となっているだけで、
さらに、その期限とは通常よりも増額したことに対する期限であって、通貨スワップそのものの期限ではない。
したがって、10月末の期限で増額分を延長しないからと言って韓国への制裁というわけではない。
むしろ、通常の状態に戻しただけの極普通の対応と言えるものだ。
この日韓通貨スワップ協定は総額700億ドルで、
日本と韓国の中央銀行間で取り決められている通過スワップ協定は2013年7月までのもので、金額は当初30億ドルだったものが、2012年10月末までの期限で300億ドルに増額されている。
その他、日本の財務省と韓国中央銀行間で行われている通貨スワップもあり、金額は300億ドル、期限が2012年10月末までとなっている。
さらに、東アジア地域における通過スワップ協定として、日本の財務省と韓国中央銀行間で100億ドルの通過スワップ協定がある。
これらを合計して700億ドル。
つまり、2012年10月で期限を迎えるのは、
日韓中央銀行間の通貨スワップ協定の中の増額分と、日本財務省と韓国中央銀行間の通貨スワップ協定300億ドルである。
これらは時限措置なので韓国側からの依頼が無ければ自然に失効しても問題ないものである。
これについて韓国側が自国での外貨準備高が少なく、通貨危機に対応する自信が無いのであれば、日本に対して延長をお願いすればよいだろう。
その依頼が無ければ日本は期限を迎えたということで通常状態に戻せばよいだけのことだ。
この日韓通貨スワップ協定は、韓国側にメリットがあり、日本側にはあまりメリットはない。
外貨準備高の少ない韓国において通貨危機が発生した場合、日本が融通した700億ドルが使われることになるが、以降にそれがしっかりと返済される保証はない。
2012年10月末までの増額措置についても韓国側からの依頼によるものなので、日本はアジア全体のことを考慮して増額に応じてあげたと言えるものなのだ。
韓国の通貨危機の際にそれら増額に応じたわけだが、
その際に韓国側はこのようなことを言っている。
「韓国が最も厳しい時に外貨を融通してくれたのは、米中日の中で日本が最後だ」
「世界第2位の経済大国なのに、日本は出し惜しみをしている気がする」
「日本は周辺国が大変な時は率先し、積極的に支援の手をさしのべてほしい。アジア諸国が日本にふがいなさを感じるゆえんだ」
戦後賠償とは別にODAによって韓国経済を援助してきた日本に対してこのような発言。
通常ならば竹島を不法占拠している国に手を差し伸べるなどしないだろう。
そのことを別にして韓国の通貨危機のために手を差し伸べたのだから感謝すべきだろうと改めて思う。