「話し合い」という解決方法を知らない中国は、これまで、外交問題が発生すると軍事力をちらつかせたり、経済制裁を行うなどして相手国を黙らせてきた。
軍事大国、経済大国である国がそのような低レベルな対応をするとなると、周辺諸国はさらに中国への嫌悪感を抱くことだろう。
人間関係に置き換えてみれば容易に理解できる。
少しでも相手と意見が合わないと、話し合いなどせずに拳を振るい上げたり、相手の嫌がることをして強引に黙らせる。
そんなことをする人と友達でいたいと思う人がいるだろうか?
以前に韓国やフィリピンが中国漁船の違法操業の取り締まりを強化したときには、「両国が態度を改めなければ、大砲の音を聞く覚悟が必要だ」などと脅迫。
ベトナムとインドが南シナ海での油田共同開発に合意すると、「中国を刺激するならば、代価を払わせる」と筋の通っていない脅迫。
日本が尖閣諸島近海での中国漁船を取り締まった時にも、突然、レアアースの輸出制限をするといった嫌がらせを行っている。
そして、今回のフィリピンとの対立。
フィリピンのルソン島からわずかな距離にある「スカボロー礁」で漁業を行っていた中国漁船を取り締まろうとした際に、
中国艦船がそれを阻止、1ヶ月以上も中国艦船とフィリピン艦船が睨み合う状態となった。
この「スカボロー礁」の領有権についてはどちらの言い分が正しいのか定かではないが、
フィリピンのルソン島から直線距離で約200km、中国の海南島から直線距離で約800kmという位置にあると考えると、
フィリピンの領土にした方が地図上は自然である。
しかし、その周辺海域に海底資源の存在があるがために、問題が大きなものとなっている。
そこで、フィリピン政府は国際海洋法裁判所の仲裁による解決を提案、つまり、「話し合い」での解決を提案したが、「話し合い」という解決方法を知らない中国はそれを拒否。
スカボロー礁に限らず、尖閣諸島や西沙諸島においても、「話し合い」で解決しようとすると中国にとって不利になるのだろう。
だから何事においても、国際的な場における「話し合い」には応じず、軍事力や経済制裁によって相手を黙らせる方法しかとらないのだろう。
先ほどの人間関係の話で言えば、
こんな人には誰も寄り付かなくなり、寄り付いたとしてもそれは金目当て、儲け目当てで、本当の意味で仲良くなろうと寄ってくる人はいなくなるだろう。
どんなに腕力が強くても、大金持ちでも、こんな人とは手を結ぶことなく、他の多くの人たちと手を結んだ方が得策である。
中国が周辺諸国を軍事力や経済制裁で脅迫すればするほど、
韓国、フィリピン、ベトナム、日本などはさらに周辺諸国と手を結び、軍事力や経済制裁で脅迫されても屈しない状況を作り上げることになるだろう。
そうなれば、中国はますます国際社会に居づらくなる。
ある程度の妥協をしつつ国際社会での居場所を確保するか、自分の理論、考えを押し付けて自分で自分の首を絞めるか。
これからの中国の外交政策が見ものです。